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大企業がDXを推進する際の課題とは?4つのポイントについて解説

 2023.02.24 サークレイス株式会社

はじめに

デジタル化の進展に伴う消費者のニーズの変化やビジネスモデルの変容に伴い、「DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル変革)の推進が急務となっています。大企業では中小企業と比較するとDXが進んでいる印象がありますが、内容としてはまだまだ道半ばというのが実状です。

そこで今回は、大企業が効果的にDXを進めるうえで、乗り越えるべき障壁となっている課題について解説します。

大企業がDXに取り組むべき理由

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大企業が「DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル変革)」に取り組むべき代表的な理由として、次の3つが挙げられます。

 ・業務効率化を実現できる


 ・条件を満たせば節税効果が見込める


 ・BCP対策になる


 

業務効率化

DXに取り組み、RPAによる自動化や業務プロセスの可視化・見直しなどを進めることで、飛躍的に業務を効率化することができます。

例えば、データ打ち込みや集計作業などをデジタル化すれば、

 ・新たなビジネスモデルを検討するといった高度な業務で、人的リソースを有効活用する


 ・時間外業務を減らし人件費を抑える


といった効率化ができるでしょう。

また、DX推進は大企業にありがちな、長年の間に蓄積してきた「必要性が不明な業務」の見直しをする契機にもなります。人材や費用を効率的に活用し、企業の競争力を高めるうえで、DXは欠かせないのです。

 

節税

DX投資促進税制を活用してDXを推進することで、節税効果を見込むことができます。DX投資促進税制とは20218月施行の税制優遇措置で、条件を満たしてDXに取り組むと、3%~5%の税額控除か30%の特別償却といった優遇を受けることが可能です。

優遇を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

DX投資促進税制とは

必要な手続き

・IPA(情報処理推進機構)に必要書類を提出しDX認定を取得

・事業適応計画を作成し認定を受ける

優遇の内容

・3%~5%の税額控除か、30%の特別償却

期限

・2023年3月末までの投資が対象

投資規模も大きくなりがちな大企業では優遇効果も高くなるため、積極的に活用したい制度と言えるでしょう。

詳しい条件や手続きなどは、経済産業省のWebページをご確認ください。

 

BCP

DX推進は、BCP対策の観点からも必要と言えます。

DXを進めることで、

 ・社内で基幹システムの機器類を管理せずに済むため、リスクを分散できる


 ・従業員がどこからでもシステムにアクセスして業務を継続できるようになる


といった状態を目指せるためです。

特に、取引先も顧客も多い大企業では、業務が停止すると大きな損害につながりかねません。BCPの拡充につながるDXへの取り組みは必須と言えるでしょう。


大企業のDX推進の現状

大企業のDX推進は、中小企業と比べれば進んでいる状況にあります。202110月に公開された情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2021」においても、「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」と回答した割合は、従業員が1,001人以上のいわゆる大企業では43.4%にも上りました。

全社的にDXに取り組んでいると回答した割合

従業員数1,001人以上の企業

43.4%

従業員数301人以上1,000人以下の企業

23.7%

従業員数300人以下の企業

8.6%

※参照:情報処理推進機構(IPA)「DX白書2021

従業員1,000人以下の企業での回答割合と比べると格段に多いものの、全体の半数は下回っており、十分にDXが浸透しているとは言い難いかもしれません。

また、DXに着手している企業も、取り組みがスムーズに進み、期待したとおりの成果を上げているとは限りません。大企業には大企業ならではの課題があり、難航している企業も多いのが実情です。


大企業のDX推進における課題

大企業のDX推進における代表的な課題は、次の4つです。

 ・変革に対する抵抗感が強い


 ・DX人材の不足


 ・セキュリティへの懸念


 ・DX推進チームが機能しない


 

変革に対する抵抗感が強い

DXによって業務のやり方や事業内容などを変革することに対する社内の抵抗感が強いことは、大企業ならではの課題と言えます。安定した大企業だからこそ保守的で、新しい挑戦に対して消極的な従業員が多い場合があるためです。

DXを効果的に推進するには、まず社内全体でDXへの理解・納得感を高めることに努める必要があるでしょう。

 

DX人材の不足

企業規模にかかわらず、どの企業でも発生する課題がDX人材の不足です。DX人材とは、デジタル技術やその活用方法に精通し、DX推進をリードできる人材を意味します。

人材確保には、採用と育成の2通りの方法がありますが、DX人材の総数は少なく、採用の難易度は高いのが実情です。

そのため内部での育成が望ましいとされていますが、大企業では前述のような保守的で変革や挑戦に消極的で、DXに対するモチベーションも低い従業員が多いこともハードルとなっています。DXに関わりたくないという従業員の意識を変革することが、先決と言えるでしょう。

DX人材について詳しくは、こちらの記事もあわせてご確認ください。

DX人材とは?人材採用と育成の課題・対策・育成モデルを紹介

 

セキュリティへの懸念

セキュリティへの懸念からDXが進まないというのも、大企業では起こりがちな課題です。

業務のデジタル化にはさまざまな恩恵がありますが、サイバー攻撃による情報漏洩などの懸念もあります。企業規模が大きいほど情報漏洩による企業の信用損失の影響も大きいため、デジタル化に二の足を踏んでしまうのです。

セキュリティへの懸念を払拭するためには、セキュリティポリシーやセキュリティ対策を先に整備・検討したうえでデジタル化を進めていくといった、進め方の工夫が必要になります。

 

DX推進チームが機能しない

大企業では「DX推進チームを立ち上げはしたが、結局機能していない」といった状態に陥り、DXが進まなくなるケースもよくあります。組織が複雑で利害関係者が多く、足並みがそろわなかったり方向性が定まらなくなったりしがちなためです。

このような事態を防ぐためには経営層が積極的に関わり主導するほか、外部の有識者やコンサルタントを活用し、膠着状態にならないような仕組みづくりをすることが欠かせません。

まとめ

大企業でDXを効果的に進めるためには、業務のやり方や内容といった部分的な変革だけではなく、企業体質全体に目を向けた変革が求められます。

やみくもにデジタル化を進めるのではなく、実行体制の整備や社内の変革ムードの醸成などから着手していくことで、DXへの取り組みをスムーズに進めやすくなるでしょう。

・サークレイスのDXへの取り組み

・DX人材とは?人材採用と育成の課題・対策・育成モデルを紹介

・社内DXとは?社内DX推進が必要な理由と成功のポイント

中小企業のDX推進における課題とは?変革を進めるために必要なこと


【参考(外部サイト)】

DX戦略の策定と推進|DX白書2021

デジタルトランスフォーメーション(DX)の7つのメリットは?|Knock

DXに取り組む企業で共通する「二大課題」は?IPAが分析レポートを発表|ITmedia エンタープライズ

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