ITトピックス
2023.03.31
近年、業種を問わず「DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル変革)」を重要視する動きが進んでいます。
各種電子化ツールの導入など、DXに向けた動きを進めている企業様も多いと思いますが、「本当にDXが実現できているのか?」と疑問に感じることもあるのではないでしょうか。
今回はDXの定義の確認や、デジタル化との違いの説明を通じて、DX推進のメリットや抑えておくべきポイント、さらにDXの本質について、実際に弊社サークレイスで進めているDXの取り組みや課題も踏まえて、簡単にご紹介します。
DX(Digital Transformation)とは、情報を0と1のような値で処理すること、つまりは電子機器で扱うことを意味する「デジタル」という言葉に、変形、変革といった意味を持つ「トランスフォーメーション」を組み合わせた言葉です。
これまでに多くの専門家やIT関連会社によってDXの定義がなされてきましたが、日本では経済産業省が2018年12月に発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」において以下の通り定められています。
”企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。”
出典:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン (DX推進ガイドライン) 」Ver1.0
弊社がDX事業に携わる中で、「デジタル化と何が違うの?」といった質問をいただくことが少なくありません。
デジタル化は、情報をデジタル形式に変換する「デジタイゼーション」と、デジタル技術により高い付加価値を提供する「デジタライゼーション」の2つの概念を合わせた言葉として知られています。
ビジネスにおいて、DXとデジタル化が同じように語られることも多いのですが、実際は「企業組織や社会の変革にまで踏み込むかどうか」で大きく意味合いが異なっているのです。
「デジタイゼーション」は、例えば紙ベースで行っていた書類作成をPC上で自動化するといった、情報の電子化とそれに伴う効率化を意味する言葉です。
電子化や効率化という面では共通する部分もありますが、あくまで業務フローの一部を電子化するに留まり、対外的なサービス改善を目的としないものも含む点が違いとして挙げられます。
「デジタライゼーション」は、データを電子化し、既存業務を効率化するに留まらず、可視化・分析といったプロセスを通して活用し、商品やサービスの品質向上を実現することを意味しています。
DXと比較すると、デジタル技術を用いてビジネスに付加価値を創出するという点では共通しています。一方で、必ずしも組織や社会の変革を伴わない点がDXとの違いです。
前述した通り、DXは最終的に企業組織、ひいては社会全体の変革を意図している点でデジタル化よりも一歩踏み込んだ概念です。
このような視点から、DXの本質的なメリットについて考えたいと思います。
DXは対外的な価値の創出のみならず、社内環境の改善にも大きく影響します。代表的な例が働き方改革で、DXの推進は働き方の多様化や、テレワークやワーケーションをはじめとするニューノーマル時代の働き方への移行を容易にする役割を果たします。
生産性の向上による業績改善はもちろん、働きやすい環境づくりにより離職率の低下や採用コストの抑制などの恩恵が受けられる点はDX独自の特徴と言えるでしょう。
DXは一組織に留まらず、社会全体へと波及し、持続可能な社会の実現に大きく影響する可能性を秘めています。
特に昨今では、2015年9月に策定された持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みが企業の社会的責任として求められています。その中には「働き方」や「技術革新」に関する目標が含まれるため、DXの実現とSDGsの達成は密接な関係にあるといっても過言ではありません。
繰り返しになりますが、DXには組織社会の変革が必須となることから、単にツールを導入すれば実現できるシンプルなものではありません。
数々のクライアントのDXを支援した弊社の経験から、実現におけるポイントを3つ紹介したいと思います。
DX推進にあたっては、トップエグゼクティブを中心に、DXにより何を実現するのか、どのような価値を生み出すのかを明確にすることが重要です。
既存サービスの改善、新サービスの開発、あるいは働き方改革など社内向けの創出など、DXで実現できることは多岐に渡りますが、経営戦略と照らし合わせつつ実現したい方向性を明確にすることで、取るべきアクションが明らかとなります。
DXは組織の変革を伴う以上、メンバー各々がDXを理解し、前向きに取り組むこと無しには実現できません。
前述した通り、企業としてDXで何を実現するのか、そしてメンバー、あるいは社会にとってどのような恩恵があるのかをポリシーの形で明確化することが、メンバー1人1人のモチベーションアップに繋がります。
より実務に近いところでは、社内業務の可視化がDXの第一歩であると言えます。具体的には各メンバーがどの業務を担当し、何に苦労し、どのようなスキルを持っているのかの相互理解が、組織としての課題点の発見に繋がります。
また、業務の可視化によりDXの費用対効果を定量把握できるため、システムの開発やツールの導入といった投資判断を円滑にするうえでも大切だと言えるでしょう。
今回はDX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル変革)の本質的なメリットや、実現に向けたポイントを紹介しました。
DXという言葉は認知度こそ高まっていますが、未だに“D=電子化(デジタル化)、効率化”の側面が目立っており、“X=変革(トランスフォーメーション)”に至っていない企業が多いのも事実です。目先のコスト削減や生産性向上に留まらず、より「組織や社会の変革」に目を向けてDXを考えてみてはいかがでしょうか。
弊社サークレイスでは、その“X=変革(トランスフォーメーション)”にこだわり、循環型社会を創り出す有効な手段として社内でのDX推進をしつつ、お客様に対しても本質的なDXを提案し続けています。