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中小企業のDX推進における課題とは?変革を進めるために必要なこと

 2022.10.28 サークレイス株式会社

はじめに

デジタル技術やデータを活用して企業の競争力を強化する「DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル変革)は、ニーズの変化が激しい現代において欠かせない取り組みです。経済産業省がDXレポートを示し推進していることもあり、取り組む企業も増えています。

ただ、DXに積極的に取り組んでいるのは大企業が多く、中小企業のDX推進は遅れているのが実情です。今回は、中小企業のDXに焦点を当て、その必要性や課題・進め方などを解説します。

中小企業がDXに取り組むべき理由

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中小企業が「DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル変革)」に取り組むべき代表的な理由として、次の3つが挙げられます。

  • 業務効率化を実現できる
  • 条件を満たせば節税効果が見込める
  • BCP対策になる

 

業務効率化

DXを推進することで、業務効率化を大幅に進めることができます。

DXでは、単にデジタルツールを導入するだけでなく、業務プロセス自体をチェックし、必要な改善を行うためです。根本から業務の最適化を行うDXを推進することで、人的リソースの有効活用が可能になり、生産性の向上を実現できるでしょう。

少ない人材で高い成果を上げる必要のある中小企業において、欠かせない取り組みと言えます。

 

節税

条件を満たしてDXを推進すると「DX投資促進税制」の対象となるため、節税効果が見込めます。

 DX投資促進税制とは、20218月から施行された、DXを推進する企業を税制上優遇する措置のことです。優遇を受けるには、以下の点に注意する必要があります。

DX投資促進税制とは

必要な手続き

・IPA(情報処理推進機構)に必要書類を提出しDX認定を取得

・事業適応計画を作成し認定を受ける

優遇の内容

・3%~5%の税額控除か、30%の特別償却

期限

・2023年3月末までの投資が対象

詳しい条件や手続きなどは、経済産業省のWebページをご確認ください。

 

BCP

DXを推進し、オフィスの外にいても業務が進められる環境にしておけば、BCPBusiness Continuity Plan:事業継続計画)の観点からも安心です。

有事の際に事業中断を余儀なくされ製品やサービスの供給が止まってしまえば、取引先からの信用低下につながります。

取引先としてもサプライヤーからの供給停止は避けたい事態のため、BCPの有無や内容について確認の申し出がくることもあります。BCPを予め策定しておけば、このような場合に速やかに回答ができるでしょう。

また、供給中断の期間やタイミングによっては、取引停止もありえない話ではありません。大企業と比べ取引先1社あたりのウェイトが重い中小企業においては、数社の取引停止が企業存続に係わります。

万一、災害が発生するなどして従業員の出社が難しい状況になっても、社外から業務システムにアクセスすることができれば、業務を停止せずに済みます。

特に、クラウドサービスを活用すれば機器の被災も避けられるため、強力なBCP対策となるでしょう。


中小企業のDX推進の現状

効率化やBCPなどさまざまな観点から重要性の高いDXですが、日本の中小企業では推進が遅れているのが現状です。

独立行政法人中小企業基盤整備機構が20225月に公表した「中小企業のDX推進に関する調査」によると、すでにDX推進に取り組んでいると回答した中小企業はわずか7.9%にとどまりました。さらに、DXに取り組む予定はないと回答した企業が41.1%でした。

なぜ、中小企業のDX推進は進まないのか、その背景にある課題を次章で説明します。


中小企業のDX推進における課題

中小企業のDX推進における主な課題は、次の2つです。

  • DX人材の不足
  • DXへの理解不足

 

DX人材の不足

1つめの課題は、DX人材が不足していることです。

DX人材とは、デジタル技術やデータの活用方法に詳しく、実際のビジネスや業務でどのように活かして変革につなげられるか検討し実践できる人材を意味します。

DX人材を獲得する主な方法は、経験者採用と社内の既存人材育成です。ただし、どこの企業もDX人材を求めているのに対し、スキルの高いDX人材は不足していることから採用の難易度は高く、DX推進の素養がある既存人材の選定も難航しがちなのが現状です。

DX人材について詳しくは、こちらの記事もあわせてご確認ください。

DX人材とは?人材採用と育成の課題・対策・育成モデルを紹介

 

DXへの理解不足

もう1つの課題として、DXへの理解不足が挙げられます。

DXは大企業が取り組むもの」といった誤った認識が広がっていることに加え、「そもそもDXが何なのか、有用性がわからない」「興味はあるが、何から始めればよいのか分からない」など、分からないことが多くて二の足を踏んでいる中小企業が多いのです。

そこで、次章では中小企業がスムーズにDXを進めていくための流れをご紹介します。

中小企業向け DXの進め方

中小企業がDXを推進する際は、以下のステップに沿って進めるとスムーズに運びます。

    1. DX戦略やビジョンの策定
    2. 従業員の意識改革
    3. 変革する対象を定める
    4. DXの本格推進と拡大

 

DX戦略やビジョンの策定

DXをスムーズに推進するには、最初にDX戦略やビジョンを策定しましょう。具体的には、DXの方向性とスケジュールを決め、社内全体で共有を行います。

DX推進チームだけでなく社内全体へ向けて共有を行うのは、DX推進にはある程度の期間がかかり、上層部及び従業員の協力が欠かせないためです。始めに、どういった流れや期間・費用感で行うのか共通認識を持っておくことで、その後の工程も進めやすくなります。

 

従業員の意識改革

従業員全員にデジタル化による変革の意義を理解してもらい、意識改革を進めることも欠かせません。

DX推進は、デジタルツールを導入すればそれで良いわけではなく、デジタル化を通じ現在の業務プロセスやビジネスモデルの変革をしなければならないためです。

実際にツールを使う従業員がDX推進の意識を持てば、DXの効果が速やかに出やすくなるでしょう。

 

変革する対象を定める

次に、DX推進によって変革を起こす対象や範囲を定めます。DXは一気に推進するのではなく、優先順位を定め順番に行っていくことで、混乱を最小限に抑え、より効果的に推進することができます。

最初にDXに着手する際は、小さな業務や影響範囲の狭い業務から始めるのがおすすめです。まずは小さく始めて、そのフィードバックを確認しながら全体に広げることで、失敗のリスクを抑えられるためです。

まずは社内のみで完結する範囲でDXを始めるという選択肢もあります。

社内DXについて詳しくは、こちらの記事で解説しています。

社内DXとは?社内DX推進が必要な理由と成功のポイント

 

DXの本格推進と拡大

部分的にDXを推進したフィードバックを踏まえて最適な進め方がはっきりしたら、社内全体へDXを拡大していきましょう。

 DXは特定の部署だけでなく社内全体や社外へ波及する形で推進することで、より大きな変革のメリットを得ることができます。

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まとめ

DXに本格的に取り組んでいる日本の中小企業は、まだあまり多くはないのが実状です。だからこそ、今、着手することで、他社と差をつけることができます。新型コロナウイルス感染症などによるニーズの多様化に伴い変革が求められている今だからこそ、DXをスタートさせ、競争力を強化しておきましょう。

・サークレイスのDXへの取り組み


・DX人材とは?人材採用と育成の課題・対策・育成モデルを紹介


・社内DXとは?社内DX推進が必要な理由と成功のポイント


 

【参考(外部サイト)】

DXレポート2.2(概要)|経済産業省

中小企業におけるDX推進の課題と3つの成功ポイント|Techfirm Blog

DX投資促進税制とは? 【わかりやすく解説】税額控除、申請方法について|カオナビ

BCP策定のメリットと留意点は何ですか?|J-Net21

BCPとは?中小企業にも必要?BCP策定が必要な理由とメリットを徹底解説|中小企業応援サイト