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海外赴任開始時の手続き、企業側で行うべきことと意外な注意点

 2022.06.10 サークレイス株式会社

assignment procedure-1従業員が海外赴任する際にはさまざまな手続きが必要です。海外赴任者本人が行う手続きもあれば、企業側(人事労務部門)で行う手続きもあり、その内容は多岐にわたります。海外に初進出する企業であれば、何から始めれば良いのかわからないかもしれません。

そこで今回は、海外赴任開始時の手続きや企業側で行うべきことをご紹介します。

海外赴任開始時に必要な手続きとは

assignment procedure-2海外赴任開始時は、海外赴任者本人が行う手続きと、企業側が行う手続きで分かれます。

海外赴任者本人が行う手続き

  • 住民票の除票(海外転出届の提出)
  • パスポートの取得または更新
  • 賃貸住宅の解約
  • 持ち家の売却や賃貸の検討
  • 子供の転校に関する手続き

企業が行う手続き

  • 就労ビザの取得
  • 海外赴任先の住居の用意
  • 引越し業者の用意
  • 給与計算方式の決定
  • 手当の手続き
  • 税金の手続き
  • 社会保険の手続き
  • 予防接種の手配

この記事では、企業が行う手続きのうち、業務との関わりが深い「給与計算方式の決定」以降の5つの手続きについて解説します。

海外赴任者の給与計算の考え方

assignment procedure-3海外赴任者の給与計算には、主に3つの方式があります。

 1つ目は、購買力補償方式です。日本の賃金水準を基準に、赴任先の国や地域の生計費指数や為替レートを考慮し、赴任中の賃金を決定します。

2つ目は、併用方式です。日本で勤務しているときに支給していた給与額を、海外赴任後もそのまま適用する方式です。現地の賃金で換算し、余分に支出する部分を手当として加算します。

3つ目は、赴任先の国や地域、赴任中の職務や役割に基づいて賃金を決める別建方式です。日本での給与額は考慮に入れません。

以上の3つのうち、どの方式を採用するかを赴任前に決定する必要があります。

海外赴任者の給与については下記のコラムで詳しくご紹介しています。
https://www.circlace.com/blog/agave/wage_oversea

海外赴任者へ支給する各種手当の設定

assignment procedure-4海外赴任者に対して、以下のような手当を支給することがあります。

海外赴任手当(海外勤務手当)

慣れない土地での生活による苦労やストレスなどへの補填として「海外赴任手当」が必要です。

また、海外赴任手当は海外勤務に対するインセンティブとして支給しても良いでしょう。

ハードシップ手当

ハードシップ手当とは、赴任先の生活環境が厳しい場合、その環境によって受ける苦労や負担を補填するための手当です。

現地役職手当

海外赴任の場合、日本では一般社員でも海外では役職に就くケースや、日本では管理職でも現地法人の取締役になることもあるでしょう。そこで、海外における役職について現地役職手当の支給が必要です。

単身赴任手当(残留家族手当・留守宅手当)

家族がいる方で、単身で海外に赴任する場合、単身赴任手当の支給が必要です。家族を日本に残す場合は、二重生活となり生活費や住宅費がかかるため、コストの補填として手当が支給されます。

子女教育手当

子女教育手当とは、赴任地に帯同する従業員の子どもの教育費のことです。

時間外労働手当

海外赴任中は、現地の労働法が適用されます。ただ、国によっては日本よりも労働時間が長く休日が少ないケースもあります。休日に仕事をしてしまう赴任者もいるため、一定額を時間外労働手当として支給することが必要となる場合もあります。

上記でご紹介した手当すべてを支給しなければならないわけではありませんが、赴任者や赴任先の状況に応じて、必要な手当を設定しましょう。

海外赴任時の手当については下記のコラムで詳しくご紹介しています
https://www.circlace.com/blog/agave/allowance_oversea

海外赴任者へ課税される税金に関する手続き

assignment procedure-51年以上の長期滞在の場合、会社からの給与については、日本の所得税は課税対象外です。ただし、海外赴任される方は、居住者として最後の給与支給の際に年末調整によって源泉徴収された所得税を精算しなければなりません。

なお、年収が2,000万円を超える場合や会社からの給与以外にも収入があり確定申告が必要な場合、納税管理人の届け出をしなければ出国するまでに確定申告が必要です。

また、短期的な滞在の場合は、赴任先の国で課税をしないというルールがあります。滞在期間が183日内であることが条件のため、183日ルールともいいます。

滞在期間以外にも、報酬の支払いがその国の居住者から支払われないこと、報酬がその国の恒久的施設で負担されていないことが条件です。

日本と海外を行き来する従業員がいる場合は、この183日ルールに注意しなければなりません。

183日ルールについては、下記のコラムでも詳しくご紹介しています。
https://www.circlace.com/blog/agave/column_for_overseas_staff

海外赴任者の社会保険に関する手続き

assignment procedure-6日本の会社から報酬を受ける場合は、基本的にそのまま健康保険被保険者の資格は継続されます。

ただし、海外法人へ赴任し転籍となる場合や、報酬の全額が海外赴任先から支給される場合は、被保険者資格を喪失してしまいます。喪失する場合は、赴任先の健康保険制度の適用を受けます。

国によっては健康保険制度が整っていないケースもあるでしょう。この場合は、会社側が海外旅行保険を用意するのが一般的です。

海外赴任者の社会保険に関する手続きについては、下記のコラムで詳しくご紹介しています。
https://www.circlace.com/blog/agave/insurance_oversea

海外赴任者の予防接種の手配

assignment procedure-7赴任先の国によっては、A型肝炎や狂犬病などの予防接種を受けることを推奨されています。

従業員を海外に派遣する場合、企業には従業員を守る義務があります。そのため、予防接種費用については会社側が負担するのが一般的です。

赴任先で予防接種を推奨されている場合は、アレルギーなど特別な理由がない限りは、赴任者に予防接種を受けてもらいましょう。また、日本国内で幼少期に接種するワクチンについても、接種がすべて済んでいるかどうか確認が必要です。

なお、海外赴任前の予防接種は、赴任者自身で手配して打ってもらい、費用を企業が負担する方法と、企業側が海外渡航用の予防接種を手配する方法があります。一般的な病院ではワクチンがない場合もあるため、海外渡航者向けのトラベルクリニックなどへ相談すると良いでしょう。

渡航者向けの予防接種実施機関(病院・クリニック)は厚生労働省検疫所のWebサイトから検索することができます。
https://www.forth.go.jp/moreinfo/vaccination.html

※事前に必ず医療機関に確認して、現在も接種が可能かどうかを問い合わせてから受診してください。

海外赴任開始時の手続きに関する注意点

assignment procedure-8海外赴任開始時の手続きの際、いくつか注意したいことがあります。

赴任者と関係者のコミュニケーション・進捗管理が必要

海外赴任の開始にあたっては、上記でご紹介したように必要なタスクが数多くあります。また、そのタスクには赴任対象者(駐在員)だけでなく、現地スタッフや外部ベンダーの担当者など、多くの人がかかわってくることでしょう。

人事担当者は、赴任者と関係者のコミュニケーションを把握しておくや、必要があります。進捗状況を管理し、ときには赴任者に代わって返答をすることが求められる場面もあるでしょう。

進捗管理はタスクと関係者の人数の組み合わせが増える分だけ負荷がかかるため、管理工数もあらかじめ見込んでおく必要があります。

赴任者と家族の情報集約にも労力を要する

赴任者の情報を集約することも大切です。帯同家族がいる場合は、家族を含めて情報を把握しなければなりません。

通常の人事システムには、海外赴任向けの情報を登録する機能が搭載されていないケースがほとんどです。そのため、情報集約にも労力を要することもあるでしょう。

海外赴任者の一元管理には「AGAVE

assignment procedure-9従業員の海外赴任を開始するための手続きは多岐にわたります。また、手続きや管理が必要なのは開始時だけではありません。赴任中も給与のデータや人事情報などの管理が継続的に必要です。

弊社が提供している「AGAVE」は、海外赴任者(駐在員)に関する人事業務を効率化するクラウドサービスです。赴任者やそのご家族の情報はもちろん、経費精算・補助手当の申請や承認、現地支給の給与明細閲覧機能が備わっています。

各種手当の社内申請や承認ワークフロー機能、プロジェクト・各種タスク管理機能も搭載。海外赴任者の情報を1カ所でまとめておくことが可能です。コミュニケーション不足や管理不足による手続きのミスも低減できるでしょう。 

参考:
 
綜合警備保障株式会社|HOME ALSOK研究所「海外赴任時の転出届や住民票などの手続きの仕方」
https://www.alsok.co.jp/person/recommend/2021/ 2022年4月30日

厚生労働省検疫所|FORTH「海外渡航のためのワクチン」
https://www.forth.go.jp/useful/vaccination.html 2022年4月30日

株式会社メディカルノート|Medical Note「海外渡航前の予防接種について」
https://medicalnote.jp/contents/160804-006-ZB 2022年4月30日

国税庁「海外勤務と所得税額の精算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1920.htm 2022年4月30日
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