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IT投資の評価方法~SaaS製品の導入検討時に本当に着目すべき点とは~

 2022.11.22 サークレイス株式会社

business documents on office table with smart phone and laptop computer and graph financial with social network diagram and two colleagues discussing data in the b

DX推進などを背景として、IT投資の必要性は日に日に存在感を増しています。しかし、IT投資の実施を検討するにあたって、その効果を正しく評価する方法が知られていないがために、本質的な価値が理解されないまま導入見送りの判断をされるケースもあります。
ここでは、IT投資の中でも特に需要の高まっているSaaS製品の導入検討時にフォーカスし、製品の価値を正しく評価するためにどのような点に着目すべきかを解説します。

IT投資の評価が難しい理由

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IT投資の評価は、なぜ難しいのでしょうか。その理由は以下の3点に集約されます。

・効果が計測しにくく不明瞭
・ITシステムに抵抗感を持つ経営者の存在
・成果が出るまでに時間を要することが多い

効果が計測しにくく不明瞭

たとえば製造機械などの設備投資の場合は、新規導入や入れ替えによって生産スピードが●倍になり、人件費が●割削減できる、つまり投資資金が●年で回収できる、といった試算が容易に行えます。
しかし、IT投資の場合は効果を定量化することが難しく、予測を元に試算をしたとしても実際の導入後に大きく上振れ・下振れすることは珍しくありません。評価基準として最もベーシックな「数値」による定量的な判断がしにくい、もしくは信用性に欠ける場合が多い点は、IT投資の評価を困難にしている最大の理由であるといえるでしょう。

ITシステムに抵抗感を持つ経営者の存在

ITシステムの導入にそもそも抵抗感を持っている経営者も少なくありません。これは、日本の中小企業において経営者の高齢化が進んでいることが関係しています。従業員や管理職がSaaS製品などのITシステム導入を強く望んでいても、経営者の鶴の一声で却下されるケースは残念ながら未だ散見されます。

成果が出るまでに時間を要することがある

先述の効果を計測しにくい点にもつながりますが、機械の設置をすればすぐに稼働開始でき成果が出る設備投資とは違い、IT投資は導入後成果が出てくるまでに一定期間を要することがままあります。
SaaS製品は該当業務の従事者がツールやシステムを使いこなすことで、真価が発揮されます。しかし、導入後にまずはツールの使い方を学び、ツールを使用した業務フローに慣れる必要があります。ツールに熟練するまでの期間は従業員のITスキルやツールのユーザビリティにもよりますが、すぐに成果が出ないことがネックとなることがあります。

IT投資の検討時にどのような観点を持つべきか

Image of young man sitting on floor. Communication concept

IT投資の評価をする際、短期的な効果や定量的な成果のみを注視しているケースが多く見られます。たしかに費用対効果を測ることは重要ですが、それだけにとらわれすぎるのは危険です。
近年の社会やビジネスは複雑化し続けていることから、より長期的な目線で「将来的な価値」を考慮すべきだといえます。

では、「将来的な価値」とはどのように測れば良いのでしょうか。人事部門の業務効率化を目的としてSaaS製品を導入する場合、つまりHR Techを導入する場合の効果を例として、どのような観点でIT投資の評価をしていくべきかを解説します。

導入目的の達成によって得られる「直接的な効果」にはどのようなものがあるか

このケースの主目的は、前述のとおり「業務効率化」です。人事部門が人材・労務・勤怠・給与などを管理するSaaS製品などのITツールを活用することで得られる以下のような成果が、目的達成によって得られる効果といえます。

・残業や休日出勤が削減し、人件費削減や従業員満足度向上が実現した
・事務作業の負担が軽減し、より生産的な業務に専念できるようになった

導入によって期待できる「副次的な効果」にはどのようなものがあるか

人事にHR Techを導入することで得られる効果は、業務効率化だけではありません。人事データの集約・一元化が叶うことで、それを分析し業務に活用するデータドリブンな戦略人事の実行が可能となります。
適切な人材マネジメントが可能となることで、従業員それぞれがより力を発揮できるようになり、会社の総合力も高まることでしょう。データに基づいた公平な人事評価や適性に応じた人材配置が成されることにより、定着率向上・離職率低下も期待できます。

これらの効果は短期的な計測では得られない、「将来的な価値」だといえるでしょう。

「導入しないことによって起こりうるリスク」の影響と回避効果はどれほどか

導入により得られる効果と共に考える必要があるのが「導入しなかった場合のリスク」についてです。
たとえば、人材管理システムを導入せずに人事担当者の経験や勘に基づいた管理が続けられた場合、適切な評価や昇進・昇格が成されないことに対して従業員の不満が溜まっていくことが考えられます。結果的に、優秀な人材の流出や従業員のモチベーション低下などが発生するリスクがあります。

また、勤怠管理や給与システムに関しては、古いシステムを使い続けることにより運用の変化に対応しきれず手作業での計算が必要となり、結果として人的ミスが発生する…といったリスクも考えられます。
このような古い既存システムは「レガシーシステム」と呼ばれ、老朽化や形骸化だけでなく、機能が実情に即していないことから複雑化・ブラックボックス化しやすいことなどが問題視されています。いわゆる「2025年の崖」として、2025年までにレガシーシステム問題が解消されなければ、国として最大で12兆円もの年間経済損失が生じるともいわれています。

適切なタイミングでSaaS製品導入などのIT投資を行うことで、上記のようなリスクを回避し、損失を未然に防ぐことができるでしょう。

「時代の変化による状況の変化」を読むことも必要

Businessman looking forward to a city  with binoculars from skyscraper concept

IT技術の進化は日進月歩です。IT投資の評価においても、時代の変化を読み、ビジネスシーンの変化を予測することが必要だといえます。
たとえば、日本では2010年代後半にQRコード決済が普及し始め、2020年代初頭のコロナ禍によってQRコード決済を始めとしたキャッシュレス決済が推奨されるようになり、急速に一般化しました。感染症の流行といった事象について予測することは不可能ですが、日本でQRコード決済が広まる前に中国で急速にQRコードの活用が進んだ時点で、日本でも一般に広がるのを予測することは可能だったでしょう。
このような時代の変化を読み取り、先回りして対応することで、ビジネスチャンスを掴むことができるのです。

今後、日本でもコロナ禍が収束すれば、いわゆる「withコロナ」の時代となります。グローバル化の波が戻り、企業の海外進出が進む可能性も高いといえるでしょう。現地法人や海外支店などの海外拠点の増加や、規模の拡大が進めば、自ずと海外駐在員へのサポート業務の頻度や負担も増えることが予想できます。
課題に則したHR Techを導入することで、人事業務が膨れ上がり長時間労働や休日出勤を強いる事態になるリスクを回避することができるでしょう。現状のニーズだけに固執せず、先を見て判断することが重要です。

IT投資は「将来的な価値」を想像・予測することで、適切な評価が可能となる

Working business woman with global reports and stock market change concept

IT投資は成果が出るまで時間を要することがあることに加え、社会やビジネスを取り巻く状況の変化によっても、もたらされる効果が増減します。そのため、短期的な観点だけでなく、長期的な目線で「将来的な価値」を見据えた上で、投資価値を評価することが推奨されます。

弊社が提供する「AGAVE」は、海外駐在員にまつわる人事労務業務を一元管理できる画期的なSaaS製品です。
海外赴任中だけでなく、赴任前や帰任時の煩雑な手続きを標準化し、業務効率化の実現に寄与します。事業のグローバル展開が拡大していき海外人事にまつわる業務量が増大した際も、スムーズな対応ができることでしょう。

HR Techを活用することにより、データドリブン人事が実現します。人事側がデータを元に、事業部側と人員配置やコストについて話し合うことも可能となることでしょう。
グローバル展開と共に戦略人事の実現を目指すなら、ぜひAGAVEの導入をご検討ください。

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参考:

「DX推進にかける投資の順番とは?DX推進は費用対効果から導き出せ!」 - DXportal|株式会社MU
https://www.dx-portal.biz/dx-turm-investment/ 2022年9月22日

「第9回 経営者が納得できるDX/IT投資評価 <設備管理のケース>」株式会社エクサ
https://www.exa-corp.co.jp/column/conservation-9.html 2022年9月22日

「IT投資を費用対効果で決めるだけなら経営ではない、DXに必要な「直観」とは」 日経クロステック(xTECH)|株式会社 日経BP
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01229/012700049/ 2022年9月22日

「情報システムの投資対効果を高める3つのポイント」|日本総研
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=13511 2022年9月22日

「経営者にITの費用対効果を説明するのは難しい:情マネ流マーフィーの法則(8)」 - ITmedia エンタープライズ|アイティメディア株式会社
https://www.itmedia.co.jp/im/articles/0804/30/news120.html 2022年9月22日

「「ただ便利なシステム」では、役員会の承認がおりない・・・」 大塚商会のERPナビ|大塚商会
https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/topics/column/casestudy/yakuinkainoshoningaorinai.html 2022年9月22日

「変わりつつあるSaaSの買い方・選び方 ユーザーが参考にする情報は? 米レビューサイトのCEOが分析」- ITmedia NEWS|アイティメディア株式会社
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2205/23/news043.html 2022年9月22日
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