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海外赴任者の家族帯同のメリットや是非、帯同手当などについて解説

 2022.12.07 サークレイス株式会社

happy young family have fun on beach run and jump  at sunset

海外赴任者が既婚者の場合、家族帯同に関する話は避けては通れません。家族帯同することによって海外赴任者の心身の健康が保たれやすいといったメリットがありますが、一方で少なからずデメリットもあります。
今回は、海外赴任者のサポートにあたる人事総務の方が知っておきたい、海外赴任時の家族帯同のメリット・デメリット、海外赴任規則での取り扱いや手当などについて解説します。

海外赴任者の家族帯同とは

Happy family moving house and carrying boxes

家族帯同とは、赴任者の家族が一緒に海外移住することです。配偶者や子どもと一緒に、赴任先の国や地域で生活をします。家族帯同をしない場合は、海外赴任者が単身赴任することになります。

家族を帯同するか否かは海外赴任者本人が決める

家族帯同についてまずお伝えしたいのは、家族の帯同・非帯同を決定するのは海外赴任をする本人だということです。赴任者本人と家族が話し合って検討し、決定することです。

十数年前までは「家族帯同が原則」としている企業も多かったですが、家族帯同するか否かは会社側が決定することではありません。海外赴任に関する規則に「必ず家族帯同で赴任すること」「家族の非帯同は禁止とする」といった記載をすることは厳禁です。
家族を帯同するか否かは海外赴任者本人と家族のプライベートな問題であるため、規則や規約で家族帯同を強制することは人権侵害ともなりかねません。

もし現行の海外赴任規則に上記のような記載がある場合は、該当する項目を削除するか、「家族帯同を推奨する」といった任意表現に変更することをおすすめします。

家族帯同を選択する海外赴任者の割合

では、家族帯同と単身赴任、どちらを選択するケースが多いのでしょうか。

駐在妻や駐在ファミリー向けに海外生活などに関するお役立ち情報を発信しているWebサイト「駐妻café」が2019年に海外赴任経験者向けに実施した調査では、回答者の84%が「海外赴任時に家族帯同した」と回答しています。

また、労働政策研究・研修機構(JILPT)が2004年に日系企業の海外赴任者向けに実施した調査では、「赴任前に家族帯同を希望していた」という配偶者は全体の55.5%と半数超。残りは「希望していなかった」が15.1%、「どちらともいえない」が24.9%となっており、家族帯同を望まない人よりも、希望する人のほうが多い傾向が伺えます。

出典:

海外駐在員のワーク&ライフ ~そのリアルな実態と駐在員家族に必要なサポートとは?~ – 駐妻café
https://cz-cafe.com/2019/05/21/survey-expats/2/

調査シリーズ No.9 第6回 海外派遣勤務者の職業と生活に関する調査結果|労働政策研究・研修機構(JILPT)
https://www.jil.go.jp/institute/research/2005/009.html
 

海外赴任者の家族帯同のメリット・デメリット

Kids playing tug war pulling rope

冒頭で述べたように、家族帯同にはメリットもあればデメリットもあります。それぞれ、海外赴任者本人やその家族、企業側からの視点に分けて見ていきましょう。

【本人・家族】家族帯同のメリット

海外赴任する本人にとっての家族帯同する最大のメリットは、家族と一緒に暮らせることによって生活面・精神面でのサポートを受けられることでしょう。
掃除・洗濯・食事の用意などの家事を分担できたり、病気になったときに看病してもらえたりするほか、家に帰れば心置きなく話をできる相手がいることは、精神的な安定にもつながります。
また、子どもがいる場合は異文化体験や外国語の習得の好機と捉えるケースもあります。

【企業側】家族帯同のメリット

本人側のメリットで記載したような、「海外赴任者の心身の健康維持」ができることは、本人だけでなく企業側にとってもメリットとなります。
海外赴任中に、慣れない海外生活や現地従業員とのミスコミュニケーションなどに疲れ、心身の調子を崩す赴任者はとても多いです。体調不良やメンタルヘルス不調は仕事のパフォーマンスに大きな影響を及ぼすため、企業側としても気にかかるポイントといえます。
中でも、メンタルヘルス不調に陥る海外赴任者は特に多く、適切なケアが必要です。

海外赴任中のメンタルヘルスケアやメンタル不調予防については以下の記事で詳しく解説しています。
海外赴任者のメンタルヘルス
海外駐在員のメンタル不調予防のために企業が実施すべきサポートとは

【本人・家族】家族帯同のデメリット

海外赴任者本人にとっての最大のデメリット・懸念点としては、家族仲に亀裂が入る可能性があることでしょう。家族が現地語や英語を話せなかったり、海外生活に対して抵抗感を持っていたりした場合に家族帯同の提案時に反対・反発されたり、赴任後に不満を吐き出され口論になったりなどの事態が想定されます。

また、配偶者が仕事をしている場合、多くは退職を迫ることになります。配偶者ビザでは赴任先で仕事をすることはできず、職歴にブランクができることになります。
子どもが就学している場合は転校することに。日本人の多い地域であれば日本人学校が有力な選択肢となりますが、日本人学校がない場合はインターナショナルスクールか現地の学校へ通うことになります。どの学校に通うにしても大きな環境の変化となるため、不安を感じるのは想像に難くないでしょう。

ただし、家族を帯同せず単身赴任をしたほうが、結果的には家庭不和が生まれやすいともいわれています。遠距離で別居することで必然的にコミュニケーションが少なくなり、すれ違いが生まれたり、不貞が起こったりすることも少なくありません。

【企業側】家族帯同のデメリット

海外赴任者が家族帯同する場合、帯同家族に関する手続きの手間や、生活費や教育費などの手当支給が必要なため、企業側の負担は増える傾向にあります。
ただし、後述するように、帯同せずに単身赴任となる場合でも手当を支給するケースもあるため、家族帯同によって企業の費用負担が大幅に増えるとは限りません。

海外赴任者の家族帯同にまつわる手当

Businessmans hand takes out dollar from wallet with finance graphic on the background

帯同家族手当

家族帯同する場合に支給する手当です。海外基本給に含まれているとして、別途支給はしない場合もあります。

子女教育手当

就学中の子どもが帯同する場合に、教育費補助として支給することがあります。国家公務員の場合は子女教育手当の支給が義務付けられていますが、民間企業の場合は義務ではないため、帯同家族手当と同様、海外基本給に含める形での支給でも問題ありません。

単身赴任手当・留守宅手当

単身赴任する場合(非帯同の場合)に支給する手当です。海外の赴任者と、国内の家族とが分かれて暮らすことによる住居費や生活費、また心身負担への補填を目的として、手当を支給することがあります。また、企業によって名称は分かれます。

海外赴任者の家族帯同の是非

Pretty young lady taking a decision with scale above her head

家族帯同の是非は、各家庭によって異なるため、一概にどちらが良いとはいえません。ただ、一般的に下記のような傾向はあります。

・小学生以下の子どもがいる場合は、家族帯同するケースが多い
・赴任が長期となる場合は、健康管理の観点から帯同させたほうが良い

とはいえ、何よりも本人と家族の希望を尊重することが最優先です。十分に家族内で検討ができるよう、赴任前にじっくり考え話し合いできるだけの期間を設けましょう。
上述したような家族帯同のメリット・デメリットなども一般的な情報として提供し、海外赴任経験者やカウンセラーへ相談可能な体制を整えられるとなお良いです。

海外赴任者の家族帯同に関するタスクもAGAVEで解決!

Close up of human hand drawing happy family and real estate concept

海外赴任にまつわるタスクは多岐にわたります。家族帯同する場合は家族に関するタスク管理も必要となる可能性があり、単身赴任の場合はより綿密な健康管理や現地生活などに関するフォローアップが必要となります。

海外赴任者のタスク管理を円滑かつスピーディーに行うためには、AGAVEのような海外人事労務に特化したクラウドツールの活用がおすすめです。海外人事タスクのアナログ管理に限界を感じている方や、海外赴任者からの問い合わせ対応に日々追われている方はぜひ導入をご検討ください。
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参考:

「海外駐在員のワーク&ライフ ~そのリアルな実態と駐在員家族に必要なサポートとは?~ 」駐妻café |株式会社 グローバルライフデザイン
https://cz-cafe.com/2019/05/21/survey-expats/ 2022年10月28日

「調査シリーズ No.9 第6回 海外派遣勤務者の職業と生活に関する調査結果」労働政策研究・研修機構(JILPT)
https://www.jil.go.jp/institute/research/2005/009.html 2022年10月28日

「グローバル人材が活躍するために必要なこと」三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2014/05/201402_87.pdf 2022年10月28日

「家族に対する手当:海外勤務者」月刊総務オンライン|株式会社月刊総務
https://www.g-soumu.com/dictionary/articles/dictionary-2011-05-post-376 2022年10月28日

「子女教育手当について」『日本の人事部』|株式会社HRビジョン
https://jinjibu.jp/qa/detl/119586/1/ 2022年10月28日

「転居を伴う異動の場合の家族非帯同の可否について 」『日本の人事部』|株式会社HRビジョン
https://jinjibu.jp/qa/detl/13287/1/ 2022年10月28日

「海外赴任時の家族帯同義務について」『日本の人事部』|株式会社HRビジョン
https://jinjibu.jp/qa/detl/80374/1/ 2022年10月28日

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