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現地法人・海外支店・駐在員事務所の違いとは?海外進出時のメリット・デメリット

 2022.06.24 サークレイス株式会社

merit_expanding_overseas_1インターネット環境やITツールの発展に伴い、企業のグローバル化が加速しています。
海外展開を行う企業は年々増加しており、近年では大企業に限らず、中小企業についても海外拠点を設置するケースが増え、海外進出を検討する企業は今後さらに拡大すると考えられるでしょう。

海外進出を行う場合の形態としては、「駐在員事務所」「海外支店」「現地法人」の3つの方法に分類され、自社にとって最適な進出形態を選択することが極めて重要です。
そこで今回の記事では、形態ごとのメリットやデメリット、ケースごとに望ましい進出形態について解説します。

駐在員事務所とは

merit_expanding_overseas_2駐在員事務所とは日本企業が海外進出を準備する場合において、現地の市場調査や情報収集活動を行うために設置する事務所を指します。一般的には日本国内の社員を現地に派遣し、マーケティング調査などを通じて海外進出先としての適否を調査することとなります。
なお駐在員事務所は将来の海外進出に向けた事前調査目的の拠点であるため、「海外支店」や「現地法人」の場合とは異なり、銀行口座の開設や営業活動を行うことは認められません。

駐在員事務所のメリットは、他の海外拠点に比べて手続きが簡便であることから、設置や撤退にかかる経費やリスクを最小限に抑えられる点にあります。
一方で営業活動はできず、あくまで情報収集のための拠点に過ぎないため、可能な活動に制限があることはデメリットと言えるでしょう。

海外支店とは

merit_expanding_overseas_3海外支店とは日本国内の本社と同一経営であり、国内支店と同様に、本社に存在する事業部門を他の拠点へと展開することを指します。
「現地法人」とは異なり、本社と支店は同一法人であるため、定款や賃金体系などの社内規定を統一することが可能です。
また海外支店の売上や経費は本社と合算して日本国内で申告しますが、現地でも税務申告が必要となり、二重課税を防止するために「外国税額控除制度」の適用が必要となります。

海外支店のメリットは、本社と同じ社内規定を使用できるため、設立時の事務負担が少ない点が挙げられます。また仮に海外支店で赤字が計上された場合には本社の利益と相殺できるため、支店の損失をカバーしつつ、本社側の課税対象額を圧縮することが可能です。

ただし海外支店にて利益が計上される場合には日本の税率が適用され、諸外国よりも税率が高いケースも多いことから、一般的に税負担が大きくなりやすいというデメリットがあります。

現地法人とは

merit_expanding_overseas_4現地法人とは、日本企業が新たに設立した海外子会社を指します。現地法人は親会社である本社から独立した別会社であるため、設立手続きや登記、労務、会計、税務処理などはすべて現地の法律に則って行わなければなりません。

現地法人の利益については現地の税制が適用されるため、日本よりも税率が低い場合には税負担が減少するというメリットがあります。また現地の賃金水準で雇用できるため、進出国によっては人件費を抑えることも可能です。
さらに海外支店とは異なり、現地にて設立された法人であるため、現地の取引先からの信用を得やすいことや採用活動を有利に展開できる点もメリットと言えるでしょう。

現地法人のデメリットとしては、現地の税制や法律に沿って設立手続きや社内規定を整備する必要があるため、必要な手続きが煩雑であり、設立時に手間とコストが掛かることが挙げられます。また現地での採用活動や労務管理、資金調達、会計手続き、税務申告などが必要となるため、法人設立後の経営体制の構築についても容易ではありません。
さらに日本国内とは切り離された環境に設置されるため、現地の景気変動や情勢変化など、カントリーリスクが大きいことにも注意が必要です。

海外進出時にどの形態を選ぶべきか

merit_expanding_overseas_5海外進出には3つの形態があるため、どの形態を選べば良いのか判断に迷う場合も多いことと思います。ここでは3つのケースについてどの形態を選ぶべきなのか、選定のポイントと共に解説します。

海外進出が初めてなら「駐在員事務所」

海外拠点の設置が初めてであれば、まず駐在員事務所を開設し、現地の情報収集やマーケティング調査を入念に行うことをお勧めします。
その上で正式に海外進出を果たす場合には、「海外支店」または「現地法人」のどちらが適切か検討しましょう。

既存事業の拡大が目的なら「海外支店」

適切な進出形態は個々の事例によって異なるものの、一般的には海外進出の目的が「既存事業の拡大」であれば「海外支店」が好ましいと考えられます。
設立時の手間や金銭的コストを抑えることでリスクを減らすだけでなく、これまで培ってきた企業としての知名度やブランド力を活かすことで、海外進出成功の可能性を高めることにもつながるでしょう。

新規事業の開拓や税率が低い国への進出なら「現地法人」

上記のケースとは反対に、進出目的が「新規事業の開拓」の場合には、日本国内の親会社とは切り離し、現地の法律や制度に即した経営が実現できる「現地法人」が有効です。
特に日本に比べて税率が低い国に進出する場合には、「現地法人」を選択することで税率差のメリットを最大限に享受できます。そのため海外進出の際には日本と現地の税制や法人税率の比較を行い、どちらの国で課税されることが望ましいのか確認した上で進出形態を選択しましょう。

海外進出のどの形態でも共通する課題を解決する「AGAVE」

merit_expanding_overseas_6「海外支店」や「現地法人」などの進出形態に関わらず、海外拠点や赴任者の数が増加するほど駐在員の労務管理は煩雑になります。十分な管理体制を整備することなく海外展開を進めた場合には、業務効率が悪化するだけでなく、労務トラブルに発展するリスクも少なくありません。

弊社が提供している「AGAVE」は、海外駐在員に関する管理業務を一元管理できるクラウドサービスです。

海外赴任中はもちろん、赴任前や帰任時の煩雑な手続きを管理し、業務効率化することが可能です。属人化しがちな海外人事業務の標準化が実現するため、将来的に海外展開が拡大していき海外人事担当者の増員が必要になった際も迅速な対応ができることでしょう。

海外進出の開始時や拡大時には、海外人事業務の整備も不可欠です。これから海外進出をお考えの企業様やさらなる拡大を検討中の企業様は、駐在員の労務管理へ目を向けることもお忘れなきよう、どうぞご注意ください。

なお、海外人事業務について詳しく知りたい方は、ぜひ次の記事もあわせてご覧ください。

 

参考:
 
株式会社 ZUUM-A|THE ORNER「現地法人と支店は何が違う?、海外進出の形態、それぞれのメリット・デメリットを紐解く」
https://the-owner.jp/archives/2799 2020年4月22日

フロンティア・マネジメント株式会社|Frontier Eyes Online「「海外現地法人」とは?「海外支店」「駐在員事務所」の違いやメリット・デメリットを解説」
https://frontier-eyes.online/local-corporation/ 2020年9月23日

東京都|X-HUB TOKYO 「海外進出「現地法人」「支店」「駐在員事務所」でどう違う」
https://x-hub.tokyo/column/kaigai-sinsyutu/636.html 2019年9月22日
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