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海外駐在員のメンタル不調予防のために企業が実施すべきサポートとは

 2022.11.10 サークレイス株式会社

Close up of businessman holding digital image of brain in palm

企業の海外進出が進み、さまざまな国や地域へ従業員を赴任させるケースも増えています。海外進出を開始したばかりであったり、人員を増加し始めた段階であったりする場合、海外駐在員の赴任中の思わぬトラブルが発生し、対応に思い悩まされている人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。 

海外赴任中の健康トラブルの中で、しばしば発生するのが「メンタル不調」です。今回は、海外駐在員にメンタル不調が発生しやすい理由や、未然に防ぐために企業が実施すべきサポートをご紹介します。海外駐在員のメンタルヘルス対策についてお考え中の人事担当者の方は、ぜひご参考にしてください。

海外駐在員のメンタルヘルス事情

Silhouette of human head with gears instead of brain

海外駐在員のメンタルヘルス事情は、実際のところどのような状況なのでしょうか。

海外駐在員の多くがストレスを感じている

グローバルライフデザインが海外駐在員131名に対して実施した「海外駐在員と帯同家族向けサポート」に関するアンケートでは、「海外赴任によって仕事へのストレスを感じているかどうか」という質問に対して、「ストレスを感じる」「ややストレスを感じる」と答えた方を合わせると52%となり、海外駐在員の半数以上が、赴任による労働環境変化でストレスを実感しているという結果が出ています。
海外生活と聞くと華やかな想像をされるかもしれませんが、海外駐在員の過半数がストレスを感じているという実情が伺えます。

最悪の事態に至る海外駐在員も少なくない

慣れない海外生活でストレスを溜めた結果、最悪の事態に至るケースもままあります。
外務省が、在外公館から報告のあった情報に基づき作成している「海外邦人援護統計2020年(令和2年)版」によると、2020年に海外で自殺を図り死亡した日本人の数は35人でした。
海外駐在員として選定されるのは比較的若く健康な人材であることも加味すると、決して少なくない数字であるといえるでしょう。

海外駐在員がメンタル不調に陥る原因

Close-up of psychologist comforting his depressed patient

では、海外駐在員の感じているストレスとはどのようなものなのでしょうか。その一例を箇条書きでまとめました。

日常生活にまつわる海外駐在員のストレス

・言語や文化の違い
・気温や湿度など気候風土の違い
・治安の違い
・ストレス解消法(友人と会う、娯楽施設へ行く等)の実施困難
・気温や食べ物の違い、過労などからくるメンタル以外の体調不良

帯同家族にまつわる海外駐在員のストレス

・家族が海外生活になじめない
・配偶者のキャリア継続困難
・子どもの教育・進学問題

現地業務にまつわる海外駐在員のストレス

・離職率の高い現地社員の教育
・出張者応対など業務以外のアテンド

本社との関わりにまつわる海外駐在員のストレス

・本社と現地との板挟み
・本社の現地状況への無理解

海外駐在員のストレスは非常に多く、かつ複合的

Business man with hand drawn arrows pointing at his head concept

上記の通り、海外駐在員のストレスは多岐にわたっています。
また、問題の多くが着任後、短期間に同時多発的に発生することもストレスが増大する原因のひとつです。現地社員の教育に苦慮し長時間労働となった結果、本社への連携がおろそかになり無理解を生むといったように、一見無関係のように思えるストレス同士が密接に関連していることもあります。複数の問題に対処しなければならない日々が続くことによりストレスは何倍にも膨れ上がり、メンタル不調へとつながります。

発生する問題の傾向は国や地域によって異なる上、何をストレスに感じるかは個人差が大きいため、海外赴任中のストレス発生を完全に予防することは難しいといえます。
例として、現地コミュニティにうまくなじめず悩む人もいれば、過剰適応によって付き合い疲れを起こす人もいます。本人はコミュニティに溶け込んでいるものの家族がなじめず、家族内の不和につながってしまう場合もあるでしょう。

海外赴任後のメンタル不調は当然起こるものとして、サポート体制を整えることが重要だといえます。

海外駐在員に対して企業が行うべきメンタルヘルスサポート

Group therapy in session sitting in a circle in a bright room

では、海外駐在員を送り出す立場にある本社・人事は、メンタルヘルスに関してどのようなサポートを実施すべきなのでしょうか。

赴任前

海外赴任の候補者選定の際、業務経験や英語力などを重視し選定することが一般的ですが、海外生活への適性や現地人員との相性、心身の健康状態についても確認をした上で選定することをおすすめします。候補者に対して健康に関するヒアリングや、ストレス耐性チェックテストなどを実施しましょう。

赴任者決定後には産業医面談などを行い本社側の相談先とつなげておくほか、現地で実行できるセルフケアや外部サポートの手段とその重要性を、赴任前研修などを通して伝えておくことも効果的です。
これらの対策はメンタル不調が発生してから実施すれば良いと考えがちですが、精神状態が悪い状態の人間への情報提供は、かえって本人を追い詰めることにもなりかねません。精神疾患発症を未然に防ぐためにも、参考情報として事前に提示し、いつでも情報にアクセスしやすい状態にしておくことが望ましいです。

赴任直後

海外赴任開始後1カ月後頃を目処に、現地業務や生活環境、帯同家族といったストレス要因について悩みや困りごとを抱えていないか、ヒアリングを行いましょう。すでにストレスが発生している場合は、どのような対処法をしているかなどの状況もヒアリングします。

本人がストレスを自覚していない場合も多いため、身体的な健康状態のチェックも兼ねて、以下のようなうつ病や適応障害の初期症状やサインについても、有無や程度を確認すると良いでしょう。

・不眠、過眠
・飲酒量の増加
・食欲の大幅な増減
・体重の大幅な増減
・慢性的な頭痛、肩こり、めまい
・慢性的なイライラや憂うつ感
・集中力や判断力の低下
・寝坊、遅刻

赴任直後のヒアリングは、対象者への適切な対処に生かすだけでなく、ナレッジを蓄積し今後の赴任者支援に生かすことができる点からも重要な対応です。質問や返答の内容は、対象者本人の了承を得た上でナレッジとして保管をしましょう。

一定期間後

赴任直後に高ストレス状態だった場合は、定期的にコンタクトを取り、ストレスへの対処状況や、現地の医療機関の受診・カウンセリング状況を確認します。
赴任直後は問題がなかった場合も、徐々に問題が出てきてストレスを抱えてしまったり、過剰適応からの燃え尽きに陥ったりすることがままあるため、定期的にヒアリングを実施することをおすすめします。

海外駐在員のメンタルヘルスサポートに「AGAVE」の活用を

Businessman hand using mobile phone with digital layer effect as business strategy concept

海外赴任中のストレス要因は非常に多く、多岐にわたることから、海外駐在員がメンタル不調に陥ることは珍しいことではありません。未然に防ぐため、適切なサポートを実施しましょう。

弊社が提供している「AGAVE」は、海外駐在員管理を効率化するクラウドサービスです。
経費申請や各種申請がスムーズに行えるだけでなく、情報共有や進捗管理の実施もできるため、海外駐在員が希薄になりがちな「本社とつながっている実感」を得やすい状況を作ることができます。
また、「AGAVE」の機能を活用すれば、現地でカウンセリングを受けられるように手当を出すことができるほか、カウンセリングや診察を受けたかどうかを確認することもできます。

海外駐在員のメンタル不調が発生した場合の対応については、下記の記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

海外赴任者のメンタルヘルス
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参考:
 
海外駐在員のワーク&ライフ ~そのリアルな実態と駐在員家族に必要なサポートとは?~ – 駐妻café
https://cz-cafe.com/2019/05/21/survey-expats/

海外邦人援護統計2020年(令和2年)版
https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/pdf/2020.pdf

快適な海外生活を送るために - 海外滞在中のこころの健康
https://travelclinic.ncgm.go.jp/021/007.pdf

うつ病|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_depressive.html
海外人事労務のDXを行うなら、豊富な実績を持つAGAVEで