ITトピックス
2023.03.31
近年、さまざまな業界で「DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル変革)」を推進する動きが加速しています。もちろん、製造業も例外ではありません。
しかし、そもそもなぜ製造業でDXが必要なのか?、DXを進めるためには具体的に何から始めれば良いのか?、などの疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、製造業DXの概要とともに、製造業DXを推進する流れや実現するためのポイントをご紹介します。
DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術などを活用し、業務や組織、さらには社会に変革を起こすことを意味します。DXと聞くと、どのような技術を用いるのかに目が行きがちですが、重要なのは「D(=デジタル化)」することではなく、「X(=変革)」を起こすことです。
DXの定義や本質について、詳しくは以下の記事で解説していますので併せてご覧ください。
DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル変革)とは? デジタル化との違いとDXの本質
製造業DXとは、その名のとおり「製造業分野のDX」のことです。現場の知識やノウハウを属人的なままにせず、デジタル化により可視化・標準化し組織や働き方を変革することにより、生産性や品質、顧客体験、業績の向上などの実現を目指します。
製造業を取り巻く現状には、以下のような課題があります。
専門的なノウハウを持つ職人の高齢化が進むなかで、継承者の確保や育成に悩む企業は少なくありません。また、自然災害や感染症の流行、紛争などのリスクにより、原材料や部品の調達をはじめとするサプライチェーンへの影響もあらためて懸念されています。
このような背景に加え、製造業は「IoT(Internet of Things)」やAIの急速な進化にも対応しなければなりません。IoTとは、各種設備や製品・部品などのさまざまなモノをインターネットに接続することで、サーバーやクラウドサービス上での処理・分析を可能とする仕組みのことです。
これらの現状と課題を鑑みると、製造業が競争力を高めて生き残るためには、DXによる変革がますます重要なものとなっていくでしょう。
製造業DXを推進する流れを、5つのステップに分けて紹介します。
製造業DXに着手する前に、「自社はDXで何を実現したいのか」というゴールを明確にする必要があります。現場に丸投げするのではなく、経営陣が中心となりDXの指針を定め、DXに対する認識を全社でそろえることが大切です。
DXの方針が決まったら、老朽化・複雑化している可能性の高い既存システムの全体像を把握し、問題点を洗い出していきます。
DXのポリシーやシステムの現状を踏まえ、具体的にどのようにDXを進めていくのか計画を策定します。策定した計画は、現場も含めて綿密に情報共有しましょう。
DXの推進には、DX人材の新たな確保、または育成が必要です。DX人材とは、経済産業省が2018年に公表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』によると、業務内容に精通しつつITでできることを理解・実現できる人材や、AI活用ができる人材などを指します。
ツールを導入するなどして、データを収集・分析し、先に策定したDXの実現計画に沿って活用していきます。取り組んだ施策はその都度効果を検証し、改善しながらDXを進めていきましょう。
製造業DXの実現には、「変革によってどのような価値を生み出すのか」といった目的や方向性を明確にし、足並みをそろえてから推進をスタートさせることが重要です。
また、既存システムの問題点を踏まえつつ、最適なデジタルツールの導入も欠かせません。ツールを選定する際には、次のような点を考慮しましょう。
専門的なノウハウを持つ人材不足の深刻化や、既存システムの老朽化・複雑化などを背景に、製造業DXの推進が求められています。繰り返しにはなりますが、DXにおいて重要となるのは「D(=デジタル化)」ではなく「X(=変革)」を実現させることです。
そのことを忘れずに、「DXで実現したいこと」を明確にしてから、目的のためにはどのようなツールが必要で、そのツールを用いてビジネス上でどのような変革を起こし何をゴールとするのか、という流れで検討していく必要があります。
ツールの導入がゴールとなることのないよう、目的意識を強く持ち続けながら検証・改善を繰り返し、製造業DXを遂行していきましょう。