AGAVE
2023.01.05

2025年8月21日(木)、海外人事業務の管理プラットフォーム「AGAVE」のユーザーイベント「AGAVE User MeetUp 2025」を開催いたしました。
AGAVE User MeetUpは今回で4回目を迎え、その規模は回を重ねるごとに着実に拡大してきました。第1回(2018年11月)はおよそ20社・38名での開催からスタートし、参加規模は着実に広がりを見せてきました。そして今回の第4回では、ご利用いただいている企業の海外人事業務ご担当者31社58名にご参加いただき、会場はこれまで以上の熱気に包まれました。
こうした成長の背景には、海外赴任や海外出張といったグローバル人事業務の複雑化に対応するため、AGAVEを活用する企業が年々増えていることがあります。導入企業の裾野が広がるにつれて「他社の事例を知りたい」「自社の工夫を共有したい」というニーズが高まり、ユーザーミートアップは単なる交流会を超えた“実務に直結する情報交換の場”として定着してきました。さらに、コロナ禍を経て対面での交流への期待が再び高まったこともあり、今回の参加者数の大幅な増加につながったといえるでしょう。
このように年々拡大してきたAGAVE User MeetUp。その第4回となる今回は、これまで以上に多彩な意見交換やユーザー様同士の一体感、新しいつながりが生まれる場となりました。以下では、その当日の様子を詳しくご紹介します。
セミナーに先立ちまして、サークレイス株式会社 代表取締役 佐藤スコットによる挨拶から本イベントを始めさせていただきました。

「日頃からAGAVEをご利用いただき誠にありがとうございます。
今後、AGAVEはAIやAIエージェントを活用して、皆様の課題をより効果的に解決できるサービスの実現を目指し、開発を進めてまいります。本日この場でも皆様からたくさんのアドバイスを頂戴できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
サークレイス株式会社 AGAVE開発部部長 兼 CS部部長の佐藤真輝郎より昨年11月にリリースしたお問合せ管理機能と、今年4月にリリースされたヘルプデスク機能のロードマップを発表いたしました。
また、弊社代表のご挨拶同様、今後は様々な機能にAIを活用していく方針をお伝えいたしました。


続いては、AGAVE導入企業の日本ガイシ株式会社 青木 暖子様(以下「青木様」)、中外製薬株式会社 福原 有吾様(以下「福原様」)、日本軽金属株式会社 児玉奈々美様(以下「児玉様」)にご登壇いただき、ファシリテーター(サークレイス株式会社 AGAVE事業部 海外人事DXコンサルタント 西本浩)と実際の活用事例をご紹介いただくパネルディスカッションを行いました。


以下、質疑応答形式でご紹介いたします。
Q.AGAVEを導入された背景、当時の課題などについてお聞かせください。
「私たちの一番の課題は“紙と人手”に依存した申請フローでした。紙の申請書に承認印を集め、PDF化して海外からメールで受け取り、それをまた印刷・チェックして返信、最後に現地担当が支払いにつなぐ――という手順で、人と紙の処理が多すぎたのです。しかも一時帰国や教育関連の申請も含め、年間で約210人・1,400件ほどを処理していました。進捗も見えづらく、コロナ禍でテレワークが進むとフローが回りにくくなり、電子化は急務でした。」(青木様)

「当社は他社様ほど海外赴任者が多くないこともあり、海外赴任者管理に大きな費用をかけづらい実情がありました。そのため紙原本とExcelを使った経費精算プロセスを続けていたのですが、コロナ禍でリモートワーク・在宅勤務が中心になると、紙原本を本社へ郵送するためだけに出社するのが難しくなりました。業務が滞りやすくなったことから、申請~承認までをオンラインで完結できる仕組みが必要だと考えました。」(福原様)

「当社は給与計算の話になりますが、これまでは海外駐在員の年俸・給与をExcelで計算していました。グループ5社から給与データを回収し、生計費調整のインデックスや為替レートを手入力して試算、ダブルチェックの上、ExcelをPDF化・パスワード付与・個別メール送付……という流れで、とにかく作業が煩雑でしたので、正確性と効率性の両立が大きな課題でした。」(児玉様)

Q.青木様にお聞きいたします。数あるツールの中で、AGAVEを選ばれた決め手は何でしたか。
「海外赴任者に特化したサービスであることがまず大きな魅力でした。さらに、当社の制度に合わせた設計ができる柔軟性です。当社は拠点ごとに申請フローが複数パターン存在しており、無理に統一するのは現実的ではありませんでした。
その点、AGAVEは現行の申請フローをそのまま電子化でき、承認ルートも申請書ごと・拠点ごとに柔軟に設定できる点が決め手になりました。」(青木様)
Q.導入時のサポートと、運用していただいた印象を聞かせください。
「承認ルートは30種類ほどあったのですが、日本通運さんのサポートがあり、非常にスムーズに導入できました。
導入から半年弱ですが、ユーザー目線でも馴染みやすいという印象で、順調に稼働していますし、リモートでも回るフローへと刷新できたことも大きな成果です。マニュアルも充実しており、UIも直感的なので、私のようにPCが得意でない者でも必要な時に自分たちで改修できると考えています。」(青木様)

Q.福原様にお聞きいたします。赴任者の派遣元が3つに分かれている中で、AGAVEを導入いただいたと伺っておりますが、運用についてお聞かせください。
「当社は、3事業所(横浜、浮間、本社)の海外人事担当が派遣元となり、それぞれからの海外赴任者をサポートする体制で、事業所ごとに管理機能を分けて運用しています。AGAVEは権限範囲や承認ルートを細かく設定できるため、運用してもうすぐ1年になりますが、大きなトラブルは発生せず順調に運営できております。」(福原様)
Q.AGAVEの運用にあたり、パソナの経費精算代行サービスを途中から導入されていらっしゃいます。こちらについてもお聞かせください。
「以前は別ベンダーに委託しつつ、紙とExcelに依存していました。そのため、入力ミスや不備が頻発し、何度も手戻りが発生。結果としてチェックが多重化し、業務負荷が増えるという悪循環に陥っていました。
そこで、AGAVEとパソナのBPOを組み合わせたことで、従来の課題はほぼ解消しました。申請から承認までをオンラインで完結でき、手戻りや二重チェックが大幅に減少しました。概算ですが“年間約500時間”を削減できています。海外人事担当の月間工数の1/3以上を占めていたチェックや手戻り対応から解放され、本来の業務に集中できるようになりました。導入効果は非常に大きく、費用対効果としても十分に納得しています。」(福原様)

Q.児玉様にお聞きいたします。AGAVEの人事労務機能を導入された後、リリースされたばかりの給与計算機能もスピーディーに導入いただきました。その背景や理由を教えてください。
「先に導入していた人事労務機能で、しっかり効率化されたことが大きな要因です。海外人事の業務を100項目ほど洗い出し、品質向上・ペーパーレス・工数削減の3点でAGAVEの導入効果を数字で示す社内資料を用意していました。そこに給与計算機能を加えると、どこでどれだけ削減・平準化できるかが明確に提示できたため、導入判断を素早く下せました。」(児玉様)
Q.導入による成果をお聞かせください。
「従来のExcel計算を行っていた時は、1人あたり1時間以上かけてPDF化・パスワード付与・個別メール送付まで行っていました。駐在員は約60名いますが、年1回の給与改定のほか帯同家族の変動などで再計算が年に数回発生します。AGAVEでは計算ロジックをシステムに実装し、入力後は自動で正しい結果が算出され、通知もボタン一つで済みます。そのため工数を50%削減でき、再計算や手戻りが激減したことで、心理的な負担も軽くなりました。」(児玉様)

Q.最後に、今後のAGAVEに期待することを一言ずつお願いします。
「社内の人事制度に関するチャットボットは、有効に使えないケースが多いのが実情です。もしAGAVEに実務で本当に使えるAIが組み込まれるなら、問い合わせ対応の質とスピードが大きく変わるはずで、とても期待しています。」(青木様)
「経費精算の次に海外人事担当の負担の大きい社員問い合わせ対応へのソリューションとして、AGAVEが導入を予定しているAI機能と組み合わせた問い合わせ機能に期待しています。生成AIでスクリーニングして、解決しなかった内容が担当者に届き、それがチャットボットに活用される仕組みにより負荷が大きく軽減されることを期待しています。」(福原様)
「海外人事担当やグループ出向元担当者の知識不足が課題です。出国時の納税や帰国時の対応など、一般的な知識を学べるツールがあれば、当社とグループ出向元で活用したいです。」(児玉様)
限られた時間ではありましたが、ご登壇いただいた皆様からは、それぞれの課題や取り組み状況に加え、AGAVEを活用して得られた成果や運用上の工夫についてお話しいただきました。
また、参加者の皆様からも多くの共感の声をいただき、大変有意義な時間となりました。
青木様、福原様、児玉様、ありがとうございました。
会も後半に差し掛かり、日本通運株式会社 田沢 一裕様に乾杯のご挨拶をいただいて、懇親会を行いました。

AGAVEユーザー同士が一堂に会する機会は貴重とあって、懇親会の場では開始直後からあちこちで熱心な意見交換が繰り広げられていました。テーブルを囲んで話題に上がったのは、導入初期における社内展開の進め方や、承認ルートの設計に関する工夫、さらには現場の従業員にシステムを浸透させるための教育・サポートのあり方など。ある参加者は「上層部の理解を得るのにどんな資料を用意したか」を共有し、別の参加者は「海外赴任者が現地で安心して利用できるように、どんなサポート体制を整えたか」を紹介するなど、実務に直結する具体的な事例が次々と飛び交っていました。
また、課題や悩みを率直に打ち明け合う場面も多く、「経費精算の手間がどれほど減ったか」「予想外に運用でつまずいたポイント」など、普段は社内だけでは気づきにくい視点が共有されるたびに、周囲の参加者が深くうなずく姿が印象的でした。さらに同業他社の担当者同士が互いの取り組みを参考にしながら「うちも同じ課題があります」と笑顔で声を掛け合い、普段は社外ではなかなか聞けない“生の声”が交わされるたびに、会場は和やかな空気に包まれつつ確かな学びとつながりが生まれていました。
こうしたやり取りを通じて、単なる情報交換にとどまらず、企業の垣根を超えた海外人事担当者のコミュニティーがその場で自然に形成されていく様子は、懇親会ならではの光景といえます。参加者の多くが最後まで活発に会話を続け、名刺交換や次回の情報交換の約束をする姿からも、この時間が参加者にとって大きな価値を持ったことが伝わってきました。
今年は、AGAVEユーザー企業の皆様の中から、特にサービスをご活用いただいている企業様を紹介する『AGAVE User MeetUp 2025 UserAward表彰式』も行いました。
海外人事労務賞
本賞では、AGAVEを幅広く活用し、海外人事労務の領域において業務効率と正確性を向上され、社内外に大きな影響をもたらしたエムシーヒューマネッツ株式会社様を表彰させていただいました。

グループ12社112拠点・駐在員300名超の管理業務において、効率化とリスク解消を実現し、残業削減とコア業務への注力を可能にされました。さらに、新機能の積極的な活用により逆出向管理など多角的な運用を推進されるとともに、グループ全体での利用促進や他社交流を通じてAGAVEの周知にも大きく貢献いただきました。
海外給与計算賞
本賞では、海外給与計算という高度で複雑な業務において、AGAVEを活用し効率性と正確性を高められた日本精工株式会社様を表彰させていただいました。

給与改定通知業務を年間75時間から6時間、給与情報連携を12時間から1時間に短縮し、ミスや誤配信ゼロに達成されました。加えて、人事担当者様自らがAGAVEを改修可能になったことで、制度変更にも迅速かつ柔軟に対応されています。日本精工様の社内からも「コア業務に集中できる」「情報伝達も改善された」と高く評価されており、人事部門全体の業務効率化に顕著な成果をもたらされています。
日本通運海外人事BPO賞
本賞では、「NX海外赴任ワンストップサービス」とAGAVEを活用し、赴任業務の効率化と正確性を高め、DX化を推進された中外製薬株式会社様を表彰させていただきました。

AGAVEを通じて、オリエンテーションやビザ、航空券手配、語学研修、引越し手配など、多岐にわたるBPOをご活用いただいています。さらに、自社BPOにとどまらず、パソナ様のBPOや新機能も積極的に取り入れ、海外人事業務のDX化を力強く推進されています。
パソナ海外人事BPO賞
本賞では、「海外人事BPO with AGAVE」により、海外人事業務の効率化と品質向上を実現し、DX化を推進されたENEOSマテリアル株式会社様を表彰させていただきました。

ENEOSマテリアル株式会社様は2022年にAGAVEとパソナBPOを導入され、今年から経費申請機能の運用および経費申請承認代行業務を開始されました。約3年間の準備期間中に運用の見直しを行うことで、システム導入と業務アウトソースを非常にスムーズに進められています。海外赴任者約50名の管理業務を、海外人事専任1名という少数精鋭体制で対応されながらも、着実に業務効率化を推進されており、現在は海外給与計算機能の導入準備にも着手されています。今後もAGAVEとパソナBPOによるさらなる業務効率化が期待されます。
受賞者の皆様ありがとうございました。
表彰式後には、受賞者の取り組みに関心をもたれた参加者が質問に訪れる姿も見られ、双方向のやり取りが生まれる場面もありました。
その後も参加者同士の交流も引き続き活発に行われ、懇親会全体は和やかな雰囲気まま続きました。

閉会の挨拶を株式会社パソナ 小林 景子様よりいただき、「AGAVE User MeetUp 2025」は幕を閉じました。

最後に
今回のMeetUpを通じて、ユーザー様同士が自由に意見を交換し、日々の運用の工夫や課題解決のヒントを共有する場の重要性を改めて実感いたしました。参加者様同士が互いの取り組みに関心を持ち、質問を交わしながら学び合う姿は、まさにユーザーコミュニティが持つ力を象徴しています。こうした経験を踏まえ、AGAVEは今後、ユーザーコミュニティのさらなる活性化に力を入れてまいります。単なる情報提供の場にとどまらず、参加者様が学び、交流し、互いに刺激を受けることのできる環境を整備していくことで、より価値のあるコミュニティに成長させたいと考えています。
ここで得られたつながりや知見が皆様の今後の業務改善や課題解決に少しでもお役立ていただければ幸いです。
今後もユーザーの皆様が集い、学び合える場を継続してご提供してまいりますので、次回はぜひ直接ご参加いただければと思います。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
