Agave
2023.01.05
こちらのブログでは、海外人事業務を行うに当たって、駐在員管理などの特殊性を把握し、海外人事業務を円滑に実施するためのエッセンスの一部をコラムとしてまとめています。
今回は「海外赴任者のメンタルヘルス」についてご説明します。
海外に赴任すると、言葉や文化の違いや、自然環境や職場環境の変化、サポート不足や過重労働等に より、体調を崩したりメンタルヘルスが悪化したりする社員も少なくありません。
一般に、人が新しい環境に慣れるためには、相当のエネルギーと一定の時間が必要になると言われていま す。日本国内においてですら転勤や異動に伴う環境の変化が原因で、メンタル不調を罹患することも少なくないのですから、海外赴任となると比べものにならないほどのストレスが負荷されることに留意しなければなりませ ん。
海外の場合、医療機関等にかかることを面倒に感じてギリギリまで我慢してしまったり、日本の出向元からの 連絡が途絶えてしまって不安感を増幅させてしまったり、身近でサポートしてくれる人が不在だったりすると、急 激にメンタル不調を訴えて、症状が増悪してしまうことがあります。
特に、着任後 2〜6 か月は、体調に注意が必要であり、不眠・不安・抑うつ気分・身体的不定愁訴などの 抑うつの初期症状や、アルコール量の増加に注意しなければなりません。
実際にメンタル不調が発生した場合は、現地においてメンタルケアが可能かどうかが最も大きい問題となりま す。
先進国であるならば、日本語が通じるなど一定の対応が可能だと考えられますが、東南アジアの国々の地 方都市などではそうしたケアは期待できません。
日本語によるメンタルケアが不可能な場合は、早期の帰国を検討することになります。メンタル不調は、短期 間で症状が改善されることは難しく、⻑期間にわたる療養を要することが通例ですから、帰国して日本語による ケアが大原則ということになります。
激しい幻覚妄想状態・興奮状態・自殺企図がある場合には、緊急に帰国するか先進国への移送が必要 となります。この場合、緊急移送会社(アシスタンス会社)に委託することを検討し、海外旅行傷害保険の 保険会社への連絡や在外公館への支援要請が必要となる場合もあります。
メンタルケアが必要となりやすい要因
1. 風俗習慣の違いによる不自由
2. 現地の医師の指示が良く理解できない
3. 現地人上司との関係が悪い
4. 運動不足
5. 喫煙習慣
6. 家族交流が少ない
7. 相談者がいない
8. 休日にやることがなく仕事をしてしまう
このようなメンタル不調が発生していない場合であっても、追々メンタル不調が生じたり、その他の健康上の 問題が生じることもありますので、日ごろから日本の出向元の人事担当者とは最新の情報を共有していなくて はなりません。連絡先、家族などの情報は会社側の管理ためだけでなく、赴任者本人の安全と健康を確保す るためにも重要なのです。
本コラムは海外人事に強い HR プラス社会保険労務士法人と、海外駐在員管理のクラウドサービス “AGAVE”を提供するパソナテキーラの共同作成したコラムです。