導入事例
コニカミノルタ株式会社 様
ご利用サービス:
Salesforce 運用支援 [Hybrid Service]
「介護過程のDX」を実現するHitomeQ事業の営業生産性を向上
自社固有のデータ資産活用で新たな営業強化へ
コニカミノルタ株式会社
事業内容 | デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、インダストリー事業 |
URL | https://www.konicaminolta.com/ |
コニカミノルタ様は1873年に、カメラと写真用フィルムの分野で創業しました。現在では、材料分野、微細加工分野、光学分野、画像分野をコア技術に、さまざまな分野の事業を展開。磨きあげてきたイメージングの技術力を基盤に、真の社会課題解決企業を目指しています。
課題・背景
- 1名体制のSalesforce担当者が退職、運用体制の立て直しが喫緊の課題
- DXの土台となる顧客データの整流化や登録画面の整備が必要
- データの不整合が営業現場での非効率化や生産性低下の要因に
成果・効果
- 新任担当者へのAdministratorスキル教育とナレッジトランスファーで、早期にエキスパートレベルへと成長。社内担当者1名の属人体制から、社員+サークレイスのチーム支援による健全な運用保守体制へ
- データの正規化と登録画面の仕様改修で、DXに必要な顧客データの整流化に成功
- 営業現場でのボトルネックが解消し、システム担当者への問い合わせ工数もほぼゼロに改善
コニカミノルタ様のQOLソリューション事業部では、営業のDXを推進するためにSalesforceの利用と運用を強化すべく、サークレイスのSalesforceリモートチーム支援サービス 「Hybrid Service for Salesforce」をご利用いただいています。事業部内オペレーションのDX推進に向けて、課題をどのように解決したか、そして今後の展開について、岡田様と今井様にお伺いしました。
コニカミノルタ株式会社
FORXAI事業統括部QOLソリューション事業部 サービスクリエイト部データプラットフォームグループ 岡田 崇志 様
岡田様は、QOLソリューション事業部の技術開発部門で、主力プロダクトであるHitomeQ ケアサポートの開発、事業部内のDX推進を担うグループのグループリーダーを担当されています。
コニカミノルタ株式会社
FORXAI事業統括部QOLソリューション事業部 サービスクリエイト部データプラットフォームグループ 今井 諒 様
今井様は、2022年10月より岡田様のグループに所属し、社内オペレーションDXの推進を担当しておられます。Salesforceプラットフォームを中心に業務の効率化提案やSalesforce内のデータ活用、データ集約基盤の構築について担当されています。
導入の背景
顧客情報がルール化されずに入力、業務生産性が低下
「HitomeQ ケアサポート」の顧客データ管理を見直すきっかけは?
日本の高齢者人口の増加にともない、介護スタッフの業務負担と人材不足が社会課題となっている。この問題に対して、介護現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務負担軽減とケア品質向上を支援するのが、コニカミノルタ株式会社 QOLソリューション事業部による介護施設向けサービス「HitomeQ ケアサポート」だ。
HitomeQ ケアサポートでは、居室の天井に備え付けた行動分析センサー(カメラ型見守りセンサー)が、24時間365日行動分析AIで入居者の行動を解析している。そして、注意行動を認識すると、介護スタッフのスマートフォンに映像とともに通知する。その他にも生活リズムの分析や、夜間安否確認など、行動データを活用したさまざまな機能も用意されているほか、業務最適化などのコンサルティングメニューも備えている。HitomeQ ケアサポートの導入によって、「人(介護スタッフ)の主観に基づくアセスメント」から「データに基づく定量的なアセスメント」へと変革をもたらすことができる。言い換えれば「介護過程のDX」によって介護スタッフの負担軽減と介護品質の向上を同時に実現することができるサービスだ。 HitomeQ ケアサポートの営業部門では、2018年頃から顧客情報管理や営業活動管理などのために Salesforceを利用してきた。当時、Salesforceの運用管理は社内メンバー1名による体制となっていた。そうしたところ、2022年の春にこのメンバーが退職することとなり、Salesforce運用保守体制の立て直しが喫緊の課題となった。
同時に、2018年から利用されてきた既存のSalesforce環境において、システム面での課題も顕在化してきていた。
当時、具体的にはどのような問題・課題をお持ちだったのでしょうか?
岡田様 「業務効率化のためにいろいろな課題を抱えていました。つぶさに分析してゆくと、初期課題として『土台となる顧客情報データ』が正規化・整流化されていないという根深い問題に行き当たりました。これを解決しない限りは効率化や自動化、DXなどには行きつかないという状態でした」
具体的には、当時、顧客情報管理にルールが無く、運用ルールに則ったデータの蓄積が為されていない状況があった。
たとえば、顧客の社名につく法人形態が「社会福祉法人」と入力されている場合と、省略して「(福)」と入力されている場合があったり、同一の顧客が異なる表記で重複登録されているケースも多くあった。また、複数の異なる顧客を同じ法人名称で登録しているケースもあり、重複なのか固有なのか、ちょっと見では区別がつかない状態になっていたという。(介護施設特有の事案で、「寿」という文字列を持つ類似した施設名も多い。)
こうした『土台の問題』により、営業担当者からのデータに関する問い合わせがしばしば発生し、正しい顧客情報を調べるための時間と手間が、業務効率化を阻んでいたという。
選定のポイント
必要なスキルやリソースを、
必要とする単位で契約できる Hybrid Service
サークレイスに運用支援を依頼したきっかけと、選定理由をお聞かせください
岡田様 「当時、Salesforceシステムの運用担当者が不在となってしまう問題をセールスフォース・ジャパン社の営業担当者に相談したところ、社内リソースだけで Salesforceの運用体制を維持することの限界を指摘されたました。そして、体制立て直しについて支援可能な企業を数社紹介してもらったところ、その中の1社がサークレイスでした」
岡田様は紹介された数社から説明を聞き、検討したという。各社、基本的には派遣契約で、専任担当者1人につき月単価を支払う形態での提案だった。
その中でサークレイスが提案したのは、Salesforceの運用・定着・内製化にチーム体制で支援する「リモートチーム支援サービス - Hybrid Service for Salesforce」だった。さまざまなスキルを持ったメンバーを揃え、顧客が必要とするニーズに応じたメンバーを「チーム」としてアサインし、必要な稼働時間単位で費用を支払うという、他社にない契約形態だった。
各社と比較して、サークレイスの提案をどう思いましたか?
岡田様 「今までにないユニークなサービス提案で、非常に魅力的なプランだと認識し、運用体制の立て直しに向けて前向きに検討しました。サークレイスの営業担当者は私たちの状況や要望についてしっかりヒアリングし、現状の課題を理解してくれた上で『安心してサークレイスに任せていただきたい』と言ってもらえたことから、最終的な決定となりました」
支援内容
データの整流化と運用ルールの整備を支援
新任担当者へのSalesforceの教育も
まずは、 前述した顧客情報データ(取引先情報)の改善と、そこに紐づく担当者様の情報(取引先責任者情報)の改善から取り組んだ。サードパーティの企業情報データを導入し、それをもとに、すでに入力されている情報と照合。顧客ごと固有の識別番号を割り振るなど、独自の管理方法を工夫し、「重複会社名」の識別問題を解決した。
サークレイスによる具体的な支援内容をお聞かせください
今井様 「顧客データの整理では、機械的に直せる部分もありましたし、泥臭く人手で見ていく部分もありました。思った以上に時間を要し3か月ぐらいはかかりましたが、そこを整備することで、Salesforceを使っている営業担当者の仕事のやりやすさが大きく変わったと思います」
商談データを蓄積する管理画面にも課題があった。Salesforce導入以降、現場担当者が利用したい項目を、Salesforceの自由度から「気軽に」追加してきたことで、入力項目が非常に多くなってしまっていた。結果的に、業務に必要な重要項目の入力が徹底されず、使いづらいデータとなってしまっていた。そこで、HitomeQの事業にとって本当に欲しいデータが何であるかを営業グループのリーダーと議論し、商談のフェーズごとに、どのタイミングでどの項目を入力させるかを整理し、不要な項目を画面から排除したうえで適切な制御機能を追加するなど、商談画面の再構築を行った。
このように課題をひとつずつ紐解き、改善し、運用ルールを整備することを、サークレイスの提案をもとに実施した。入力される値を正規化・整流化するための「入力規則」の活用方法や、データクレンジングのアドバイス、Salesforceのシステム構造に基づいたカスタマイズの考え方の教授も大きな助けになった。
さらに、新しい担当者へのSalesforceシステム管理に関する教育も、サークレイスのチームメンバーが支援した。
今井様は2022年10月、人事異動により現在のポジションに着任。Salesforceを実際に触った経験は無かったものの、運用管理業務をサークレイスと共に行いながら、いわば OJT でシステム管理者としてのスキルを身につけた。
岡田様 「学ぶべき情報を事前にピックアップしていただき、今井に提供しました。それをもとに、自己学習や、業務での実践を行い、つまずいたポイントについてはサークレイスのメンバーから丁寧に指導していただきました。おかげでわれわれのグループにおいて、今や Salesforceのことを一番よく理解しているのは今井、というまでになりました」
今井様 「Salesforceの仕組みは仕様書などからわかりますが、細かい設定方法や用途に応じた使い方については資料だけではわからないので、実際に触ってみてつまずいたところについて、時間を割いて教えていただきました」
成果・効果
営業部門での生産性が向上
データを営業の武器にするためのアプリケーションも開発
Salesforceはもともと経営トップの方針として2018年ごろに導入。Salesforceが有用なことから営業の現場で使われていくようになったが、当時は業務の全体像を見すえて構築したわけではなかったので、Salesforceを使う人数やデータ量が増えるにつれて、使いづらさが目立つようになっていった。そのような中で蓄積された大量のデータを整流化した上で、運用ルールを整備していく「テコ入れ」をサークレイスが伴走支援した。
顧客情報の整理・整流化という点では、データ検索結果が不確実であったことによる営業担当者からの問い合わせが、週に約5件はあったものが、月に1件有るか無いかに減少し、問い合わせに対応する時間がほぼゼロに減った。工数にすると、実に1人日程度も削減されたことになるという。
営業担当者、特にインサイドセールス担当者においては、これまで1件あたり10分から15分程度を費やしていた企業情報の事前調査工数が大幅に削減でき、生産性の向上につながっているという。
岡田様にとって、サークレイスによる運用支援はいかがでしたか?
岡田様 「サークレイスのサービスは、私たちに不足しているスキルやリソースを、私たちが必要とする単位で契約できるところが、非常に良いと思いました」
岡田様 「また、業務委託形態でありながら『担当者に依存するサービス品質の差』をほぼ感じないところも素晴らしいと思っています。委託先によっては、担当者が入れ替わると対応品質が変わるということも起こりがちなのですが、サークレイスの『チーム体制による運用支援』では、中のメンバーが入れ替わってもサービスのクオリティは全然変わりませんでした。
この点を特にすばらしいと感じており、あえて強くお伝えしたいところです。社員に対してしっかりとした教育を行っているんだな、と感じています」
運用支援の中で、一部コーディングによる開発も行ったとのことですが、どんな部分ですか?
サークレイスによる支援では、既存のデータや画面を整理する「土台の整備」を行った上で、Salesforce内のデータを「商談の武器」にしていくための「アプリケーション開発」も行った。
顧客との商談の場で、経営情報の一部を顧客からで受け取って登録し、HitomeQ ケアサポート導入のROIをその場でシミュレーションして見せることで、苦戦していた営業活動の底上げをしようというアプリケーションだ。(下図)
この「ROIシミュレーター」の構想はかなり以前からあり、プロトタイプは岡田様が担当するグループメンバーがセールスフォース・ジャパン社と検討を重ねて設計された。それをベースにサークレイスのエンジニアが約2か月でコーディング開発し、実装した。
Salesforceの標準機能によるカスタマイズではカバーしきれない「業務上必須なコーディング開発」は、サークレイスのデベロッパー部隊がシステム開発に応じることもできる点も、サークレイスの一気通貫支援の特長と言える。
岡田様 「私たちのSalesforce環境に対するアドオンだったので、Hybrid Service 担当チームの皆さんが土台をよく理解されていたことによって、開発を担当するデベロッパー部門の方への情報連携も非常にスムーズで、計画通りに実装することができました。このツールの具体的な成果が見えてくるのはこれからですが、営業サイドでは、今までにない『新しい営業の武器』ができたことを非常に喜んでいます」
今後の展望
さらなる事業拡大に向けて、営業バックオフィスの改善にも着手
HitomeQ ケアサポートは、2016年の上市以降、何度かのサービスアーキテクチャ変更を行ってきた。数年前からは、事業規模拡大に対応するためにオンプレミスからパブリッククラウド型に移行してサービス基盤を構築しており、この先も当面はパブリッククラウド利用による事業拡大を目指すという。
今後もさらなる介護現場のDXを目指して、他社にはない非常にユニークなデータ資産:「高齢者の居室における360度の映像と24時間365日の行動データ」の活用を促進するために、新しくデータ活用基盤を構築し、運用開始する予定だとという。
こうした事業拡大を担うにあたり、営業フロントオフィスについては今回の取引先/取引先責任者/商談管理等の整備によって、この先の大幅改修は不要と言えるところまで「土台」を固めることができた。次に着手を考えているのは、販売管理などの営業バックオフィスが使用する部分の改善と強化だ。この点においても、サークレイスの運用支援に対する期待は高い。
今井様 「最近では、営業バックオフィスの全体構造をどうするかといったところまでサポートチームの皆さんと話しており、親身に相談に乘っていただいています。現在利用可能な複数のツールの中から、どの機能を採用するのが当社にとって最適解なのか、皆さんと試行錯誤しながら検討を進めています」
岡田様 「当社で利用中のシステムの強化・有効活用と、より一層の全体最適のために、サークレイスの皆さんに一緒に取り組んでいただきたいですし、継続してご支援いただきたいと思っています」
サークレイスでは、コニカミノルタのHitomeQ ケアサポートサービスが現在も継続的に拡充してゆく中で、Hybrid Service のチーム型による伴走支援サービスが、HitomeQ事業の進化のかたちに非常にフィットしていたと考えており、そのことが Salesforce運用保守パートナーとしてサービスを長くご利用いただけている要因だと考えている。この先も、HitomeQ事業の発展とともに、サークレイスのHybrid Service for Salesforce サービスの拡充とサポートメンバーの成長を、共に歩ませていただくことができれば非常に有難い。