導入事例
三菱自動車工業株式会社 様
ご利用サービス:
AGAVE 海外給与計算
“見える化”と一元管理でビザ申請の遅延ゼロ・進捗確認時間75%削減を実現
日本通運のBPOとサークレイス「AGAVE」の連携が生んだ効率化
三菱自動車工業株式会社
| 事業内容 | 自動車の開発・製造・販売 |
| URL | https://www.mitsubishi-motors.co.jp/ |
世界100か国以上でビジネスを展開する三菱自動車工業様は、特にASEAN地域での事業に注力。
17か国31拠点に250名以上の海外駐在員を派遣し、家族を含めると約500名が世界各地で活躍しています。
ビジネスパートナー人事部 人事プロセス&サービスGr.
(左端)担当マネージャー 一関 和行 様 /(右端)担当マネージャー 吉田 あづさ 様 /(中央左)田中 秀美 様 /(中央右)若鶴 香澄 様
課題・背景
- 給与・人事といった機密情報を外部委託先が扱っており、メール誤送信などによる情報漏えいリスクが常に存在。
- 赴任関連書類の保管先が分散し、人事・駐在員ともに必要情報へアクセスできない。
- ビザ申請の進捗はExcelで管理され、「着任直前に不備が判明」という事態も発生。
- 業務は担当者依存で属人化し、引き継ぎが困難。関係者が多岐にわたるため、メール連絡は煩雑化し業務が滞る。特にビザ取得の遅れは、赴任者本人だけでなく帰任者や事業計画全体にも影響を及ぼす重大リスクでした。
成果・効果
- 情報の一元管理により、情報漏えいリスクを大幅に低減。
- ビザ取得の進捗がリアルタイムで可視化され、不備や遅延を未然に防止。
- 定例会議は「隔週1時間」から「月1回30分」へと短縮。説明のためのやり取りは不要に。
- 一時帰国申請などの手続きもシステム内で完結し、メール往復が大幅削減。
クラウドシステム「AGAVE」と日本通運のBPOサービスを組み合わせたことで、課題は劇的に改善。結果、ビザ遅延は完全になくなり、関係者の意識も「待ち」から「能動的に確認」へと変わりました。
グローバル展開の拡大により海外人事業務の複雑化が進む中、三菱自動車工業はセキュリティと情報管理の観点から一部業務を内製化へ転換。これに合わせ、日本通運株式会社(以下、日本通運)のBPOサービスと連携するサークレイスの海外人事特化型クラウド「AGAVE」を導入しました。
赴任手続きの可視化と標準化を実現し、とくにビザ取得の遅延リスクを実質ゼロにするなど、大幅な業務改善につながりました。今回は三菱自動車工業 ビジネスパートナー人事部の一関様、日本通運で海外引越事業を担当する岸本様、サークレイスの海外人事DXコンサルタント西本の3名に、導入の経緯と成功要因を伺いました。
導入の背景
人事情報のセキュリティリスクが顕在化
貴社の海外拠点と体制を教えてください。

三菱自動車 一関様(以下、一関様):三菱自動車工業は、世界100か国以上で販売を展開する自動車メーカーです。中でもASEAN地域での比率が非常に高く、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどに自社工場を構え、自動車の製造から販売までを手がけています。現在、海外派遣者は17か国31拠点に254名、帯同家族を含めると約500名が海外に駐在しています。
同社では、現地で対応できる業務を増やし、一定の範囲は現地スタッフのみで遂行できる体制づくりに努めてきました。海外駐在員に関しては、人事本部の6名のメンバーが担当しています。
日本通運様の事業内容と、三菱自動車様とのご関係についてお聞かせください。

日本通運 岸本様(以下、岸本様): 私たちは、海外に赴任される方や日本に帰任される方の引っ越しを主に提供してきました。近年では、荷物の運搬だけでなく、ビザの申請や航空券の手配、海外で新生活を始めるためのライフライン開通など、ワンストップでご依頼いただきたいというニーズが高まり、総合的な赴任サポートを提供しています。
三菱自動車様とのお付き合いも長く、これまでも引っ越しや、赴任中の荷物を国内のトランクルームでお預かりするサービスなどをご利用いただいてきました。
今回新たに三菱自動車様が、日本通運様にBPOを依頼されたのは、どのような背景や理由からでしょうか。
一関様: 2022年ごろから、人事のシステム改革とDX推進のプロジェクトが本格的に始動しました。その中で重要課題のひとつとして取り組むことになったのが、以前から懸念されていた情報セキュリティの課題でした。
その結果、ビザ申請に必要な書類がそろわず、指定日に着任できないという事態が、着任直前になって初めて判明するケースもありました。こうした遅れは、交代で帰任するスタッフのスケジュールにも影響を及ぼし、適正な人材配置が乱れることで、最終的には事業計画全体にも影響を与えかねません。このようなリスクを未然に防ぐことは、もはや先送りできない喫緊の課題となっていたのです。
岸本様:そこで、内製化が必要だと判断されたのですね。
一関様:おっしゃる通りです。ただ、当時のコミュニケーションはすべてメールで行われ、ファイルの保管場所も一元化されていませんでした。さらに、駐在員とのやり取りも可視化できていない状態で、外部委託していた業務をそのまま社内で引き継ぐのは現実的ではありませんでした。
社内でも限られたリソースで業務に取り組んでいたため、このまま内製化を強行するだけでは業務がオーバーフローするのは明らかでした。そこで、まずは効率的に管理できる仕組みを整える必要があると判断し、その実現に向けたツール選定に注力する方針をとったのです。
選定のポイント
日本通運とサークレイスの“連携力”が導入の決め手に
導入はどのように進められたのでしょうか。
岸本様:AGAVEと当社の「NX海外赴任ワンストップサービス」を共同提案する形でプロジェクトが始まりました。特に赴任前のビザ取得に関する課題感が強いと伺っていたため、AGAVEを活用することが効果的だと考えたのです。
AGAVEという海外赴任に特化したシステムを導入することで、業務の効率化や標準化を推進し、管理や司令塔が必要な部分を当社のBPOサービスで補完する仕組みとしました。赴任前のさまざまなタスクを整理し、遅れを防ぐともに、駐在員の方々が安心して赴任できるよう、私たちの経験とノウハウを発揮できればと考えています。

サークレイス 西本(以下、西本):私たちも、従来の課題を詳しく伺っており、AGAVEであれば確実に改善できるという自信を持っていました。特にセキュリティ面では、クラウド上のセキュアな環境で情報を管理することで、ファイルの取り違えなどのリスクを根本から解消できます。
また、岸本さんがおっしゃったように、「正しく状況を把握できること」はシステムにとって非常に重要です。そこで、AGAVEの強みのひとつである充実したプロジェクト管理機能をご紹介しました。AGAVEは、従来のツールでは実現が難しかった完全な進捗の可視化を前提に開発されており、情報の表示・非表示や権限設定も細かく制御できます。そのため、三菱自動車様の社内はもちろん、日本通運様のような社外パートナーとも連携しながら、複数の関係者が関わる業務にも柔軟に対応できる設計となっています。
一関様:AGAVEを含む3社のシステムを比較検討した結果、最終的にAGAVEを選んだ決め手は3つあります。
1つ目は、日本通運様と業務提携されていた点です。日本通運様とは従来から引っ越しやトランクルームでお世話になっており、信頼できるパートナーシップがすでに構築されていました。そのため、AGAVEの導入と併せてビザ業務を委託することで、ビザ手配から引越しまでを日本通運様とAGAVEで一気通貫で委託・管理できると考えました。加えて、日本通運様の社内でもすでにAGAVEが活用されていたため、導入後の運用イメージを容易に描けたことは大きな安心材料でした。
2つ目は、AGAVEの操作性が他のシステムより優れており、情報も直感的に把握しやすいと感じたことです。
そして、最後にサークレイス様ご担当者のプロフェッショナル意識に強く好感を持ったことも大きな要因です。
西本:嬉しいご評価をいただき、ありがとうございます。
一関様:サークレイス様には私たちの課題やニーズを非常に深く理解していただいていると感じました。単にシステムの機能を説明するだけではなく、「国ごとに必要書類が異なる」「関係者が多岐にわたる」「セキュリティが重要」といった海外人事業務特有の複雑さを熟知していることに驚きました。
また、デモ画面の説明も分かりやすく、私たちの業務にどう活用できるかという観点からご説明いただきました。導入後も継続的にサポートしていただけると力強いお言葉を頂戴しましたし、何より当社の業務改善を「一緒に実現したい」というお気持ちが伝わってきました。
導入時の作業負荷はいかがでしたか。
一関様:想定していたよりもスムーズでした。サークレイス様が導入サポートをパッケージ化しており、最初のデータ導入からプロジェクト管理の整備まで幅広くフォローしていただけたことが大きかったと感じています。
岸本様:導入サポートのおかげで、従来メールでやり取りしていた書類の収集や進捗確認を、すべてAGAVE内で行えるようになり、サークレイスとの連携がスムーズになった点は非常に良かったと思います。ビザ申請は国ごとに必要な書類や手続きの流れが大きく異なるため、そのパターンを整理し、AGAVEのプロジェクト管理機能に落とし込む作業を進めました。
西本:そうですね。業務フローを整理しながら、各タスクを「どのタイミングで誰が担当するか」を明確にしました。さらに国別のパターンに応じたテンプレートを作成し、漏れが起こらないよう設定を行いました。
導入効果
業務効率は大幅に向上し、ビザ取得の遅延はゼロに
運用体制と効果についてお聞かせください。
岸本様:特に課題となっていたビザ申請の進捗管理については、私どもが旗振り役を担っています。人事担当者、赴任者、現地担当者それぞれと連携し、スケジュールに沿って進捗を管理しています。
一関様:日本通運様に一元的に進捗管理をしていただけるようになった効果は、想像以上でした。ビザ取得の遅延による赴任への影響は完全になくなりましたし、進捗を即時に把握できるようになったことで、駐在員自身も前倒しで状況を確認するようになり、全体的な意識も向上しています。
業務効率の改善も顕著です。従来は委託先と隔週で1時間の定例会議を行っていましたが、現在は日本通運様と月1回30分の会議で十分です。同じ画面を共有して状況を確認できるため、イレギュラーな事項だけを話し合えばよく、説明にかかる時間が大幅に短縮されました。
西本:AGAVEのプロジェクト管理機能を効果的にご活用いただいています。国別の必要書類や提出期限をタスクとして設定し、関係者全員が同じ画面で進捗を確認できることが要因だと思います。以前はメールでやり取りしていた書類収集も、現在はすべてAGAVE内で行っていただいています。
一関様:ファイルの取り違えや宛先間違いといったヒューマンエラーを大幅に減らせたのも、大きな効果です。また、操作方法に関する問い合わせもほとんどありません。導入前に各国の駐在員向けにオンライン説明会を行いましたが、非常にスムーズに活用できています。赴任前の手続きについても「見ればわかる」「何を申請すればよいかが明確」といった声が多く、直感的に進められているようです。
岸本様:定例の報告業務が減っているのは、お互いにとってメリットですね。以前は週1回、Excelで進捗報告を受けていたと伺っていましたが、今はAGAVEを見れば状況が分かるので、そうした作業自体が不要になりました。
一関様:「見える化」がこれほど効果的だとは予想以上でした。さらに費用面でも、導入前の委託費用と比べて、AGAVEのライセンス使用料とBPO費用を合算してもほぼ同等です。それにもかかわらず、リスクは大幅に軽減され、業務品質が向上し、属人化の課題からも解放されつつあります。
今後の展望について教えてください。
一関様:せっかく標準化したプロセスが、将来的にも属人化せず組織に定着するための手段を考えていきたいと思っています。人事部内では常にメンバーの入れ替わりが発生しますが、実際、現在も引き継ぎの最中です。また、業務効率化の面では、海外人事の工数の多くを占めている社員からの質問対応について、もしAIのような仕組みが過去のやり取りも含めて学習して自動対応してくれるようになれば、とても効率的で心強い存在になると感じています。
西本:AGAVEでは現在AI機能のベータ版を提供しています。規定を読み込ませることで、駐在員からの質問にAIが回答できるようになります。まずは人事部内での引き継ぎや業務標準化にご活用いただき、将来的には駐在員向けのヘルプデスクとしても役立てていただけると考えています。
岸本様:私たちは日本から海外への赴任のサポートを主に行っていますが、近年はインバウンドのサポートも増加しています。こうした双方向の人材交流についても、AGAVEを活用してより効率的に管理していきたいと考えています。加えて、当社の海外56か国382都市に広がるネットワークを活かし、より包括的なサポートサービスを提供していきたいと思います。
一関様:海外人事業務には各社独自のルールがあり、システム化は難しいと考えられがちです。しかし今回、AGAVEと日本通運様の連携によって総合的なサポート体制を構築できたことは大きな成果でした。今後は、この基盤を活かし、AGAVEが提供するAI機能を引き継ぎや駐在員対応に積極的に活用し、さらに幅広い業務領域へと展開していければと考えています。





