AGAVE
Sep 10, 2026, 1:55:57 PM

海外駐在員を取り巻く業務は、年々複雑さを増しています。ビザ取得や引越手配、赴任中の給与や経費の精算と労務管理、さらに帰任時もさまざまな手続きが生じます。コミュニケーションは煩雑化し、データは分散しがちな海外人事の構造的な課題に対し、AGAVEを共通プラットフォームとして、赴任前から帰任までをワンストップで支援する枠組みに対する注目も高まっています。
日本通運、パソナ、サークレイスの3社がどのように連携し、そしてユーザーにはどのようなメリットがあるのかを聞きました。
インタビュー対象者
日本通運株式会社 フォワーディングビジネスユニット 海外引越統括部グローバルモビリティサポートセンター 係長 金子 友視様(以下、金子)
株式会社パソナ グローバルHR事業部 GMSチーム チーム長 加納 実沙紀様(以下、加納)
サークレイス株式会社 AGAVE事業部 AGAVE開発部 部長 佐藤 真輝郎(以下、佐藤)
——日頃接する顧客企業は海外人事において、どのような課題を抱えていますか。
パソナ 加納:大手企業は赴任者数が多い分、経費精算や給与計算といった定型的な業務量が膨大で、本来注力すべき企画業務や駐在員とのコミュニケーションに時間を割けないという悩みを抱えていらっしゃいます。一方、中小企業様では海外人事の担当者が国内人事を兼務されているケースが多く、正しい処理が実施できているか不安、業務が完全に属人化してしまっているというご相談をよくお聞きします。

(株式会社パソナ グローバルHR事業部 GMSチーム チーム長 加納 実沙紀様)
日本通運 金子:赴任前の手続きには、ビザ取得に加え、健診・予防接種、引越し、航空券の手配など多くの対応が伴います。特にビザは各国の法令や要件が変わりやすく、確認や申請に時間がかかります。また、社内に十分な知見がないまま対応している企業も多く、経験者に業務が集中して属人化しやすく、定期異動の際には複数の案件が同時に動くため、進捗確認や関係者との調整も複雑になります。さらに最近では、外国籍社員を日本へ呼び寄せるケースも増えており、こうした手続きは従来の海外赴任とは異なる手続きのため、社内にノウハウがない企業ほど対応に苦労しやすい傾向があります。
——そうした課題に対して、どのようなサービスを提供していますか。
加納:私たちは海外人事業務の中でも、駐在中の労務管理に特化したBPOサービスを提供しています。特にニーズが高いのは、経費申請の承認代行や海外給与計算などです。単に業務を代行するだけでなく、各社様の方針や経緯を踏まえたうえで、より効率的な運用方法を一緒に考え、ご提案させていただくことを心がけています。システム化が望ましいものの、予算面や規模の点から対応が難しい場合は、Excelなどの運用を引き継ぐ形での業務代行にも柔軟に対応しております。
金子:当社は「NX海外赴任ワンストップサービス」として、主軸である海外引越に加え、海外人事ご担当者の負担が大きくなりやすい各種実務、たとえばビザ手続き、健康診断、予防接種、航空券手配なども幅広く支援しています。当社の強みは、NXグループのグローバルに広がるネットワークです。世界55カ国・406都市に拠点を有しており、さらに約450名の海外駐在員をAGAVEで管理している実績があります。こうした自社での運用経験を通じて得た知見を、お客様へのご提案や実務支援にも活かせていると感じています。

(日本通運株式会社 フォワーディングビジネスユニット 海外引越統括部グローバルモビリティサポートセンター 係長 金子 友視様)
サークレイス 佐藤:サークレイスが提供するAGAVEは、海外駐在員の労務管理と給与計算に特化したクラウドシステムで、経費申請や各種承認、支払明細の配信、赴帰任時のタスク管理など、海外人事に必要な機能をひとつのプラットフォームに集約しています。海外人事の複雑な業務課題に向き合い、ユーザー様のフィードバックをもとに改善を重ねてきました。その積み重ねにより、多くの企業様、12,200人以上のユーザー様にご活用いただいています。
——三者三様のサービスを提供されている3社の協業は、どのようにスタートしたのですか。
加納:AGAVEの歴史は、パソナのグループ会社がBPO業務の効率化を目的にシステム開発を行ったことに始まります。このシステムの系譜を受け継いだ現在のAGAVEがSaaSとして進化して、多くのお客様に利用されています。パソナは最も長いAGAVEユーザーでもあるのです。
金子:お客様から海外赴任を管理するシステムがほしいという声をいただき、何か有効なものはないか探していたところ、パソナ様とサークレイス様で提供しているAGAVEにたどり着きました。当社でも実際に海外赴任者管理の業務で活用し、その利便性や有効性を実感したことから、お客様にもご提供できると考え販売を開始しました。その後、当社が参画し、当社が得意とする赴任前・帰任時の実務(BPO)もAGAVE上で提供することで、海外赴任業務をより一連の流れとして支えられる体制を目指しました。
佐藤:この3社協業には、必然性があったと考えています。
本協業が始まる以前、駐在員の方々は
これらをそれぞれ別々の手段・別々の窓口で受けていました。これは駐在員にとって非常に分かりづらいだけでなく、それらを連携させて管理する人事部にとっても大きな負担になっていました。
こうした課題は多くの企業で共通しており、影響も決して小さくありません。だからこそ、この分断を解消することで、 海外人事業務は大きく改善できると感じていました。
そこで私たちは、AGAVEを中心に、人事部・日本通運様・パソナ様の業務をシームレスに統合することを目指しました。駐在員が「どこからサービスを受けているのか」を意識する必要がなく、必要な支援を必要なタイミングで受けられる状態を実現したいと考えたのです。
AGAVEを日々使い込んでいる日本通運様とパソナ様が近くにいることで、現場の課題を踏まえた改善もスピーディーに進みました。結果として、3社が連携することで提供できる価値は、単独では決して実現できないレベルに高まっていると感じています。

(サークレイス株式会社 AGAVE事業部 AGAVE開発部 部長 佐藤 真輝郎)
金子:赴任中の給与や経費精算のBPOを提供している会社は、それほど多くありません。お客様から赴任中のサポートについて依頼されたとき、パソナ様の名前を出して幅広いカバーができるとお伝えすることで、喜んでいただいています。これまでの実績をお伝えすることで、お客様が安心してくださる効果は大きいものがあります。
加納:それは当社も同じです。赴任前後のサポートを得意とする日本通運様の存在、そしてAGAVEによって管理が簡便になることを提案すると、お客様からは「ワンストップで依頼できてありがたい。システム利用を含めた提案で一気にDXが進みます」とご評価されることもあります。
——AGAVEを共通のシステム基盤とするメリットをもう少し教えていただけますか。
加納:業務フローについては、AGAVE上で承認や申請の作業が完結するようになり、メールやExcelでのやり取りが不要になります。駐在員ご本人も過去の履歴を参照できますし、当社のBPOスタッフもお客様と同じ画面を見ながら説明できるので、対応が常にスムーズです。
金子:AGAVEは、赴任前の各種手続きの段階から利用でき、案件の進捗をリアルタイムで可視化できます。お客様と当社の双方が状況を一覧で把握しやすく、業務の透明性向上にもつながります。直感的でわかりやすいUIも高く評価されており、日々の運用負荷や利用時のストレスを抑え、継続的に活用いただきやすい点も魅力だと感じます。
加納:改修要望にも柔軟に対応していただき、進化し続けているSaaSですね。
佐藤:「使いやすさ」は最もこだわってきた点ですので、大変嬉しく思います。サークレイス入社前はBtoCサービスの設計・開発に携わった時期があり、使いやすさこそ、ユーザーに使っていただくシステムの大前提だと学んできました。そんな経験が今活かせているなら、光栄です。

——ユーザーにとって、BPOとシステムが一体化するメリットを解説してください。
佐藤:お客様が本当に実現したいのは業務改革です。BPOやシステム導入はあくまで手段に過ぎません。
ところがBPOはBPO、DXはDXなどと別々に検討すると、
密接に関係しているにもかかわらず前提が揃わないため、効果が半減したり、最悪の場合はプロジェクト自体が破綻してしまうことがあります。
海外人事は、赴任前・赴任中・帰任後のプロセスがすべてつながっているため、部分ごとに最適化しても全体としてうまく機能しないケースが少なくありません。
私たち3社の枠組みでは、最初からBPOとDXを一体で設計し、全体最適の視点で提案できるのが大きな強みです。
その結果、お客様が目指すべき“業務改革”という本来の目的を見失わずに、より確実に成果につなげられると考えています。
金子:まさにその通りで、お客様としては赴任前から帰任までを切り分けず、トータルで対応してほしいというニーズが非常に強いと感じています。となれば相談先が一本化され、AGAVEを使って全体像がわかるという状態は、お客様にとってストレスが少ないと思います。
加納:システムとBPOを同時にご提案できるので、導入する際に全体設計がしやすいというのも大きなメリットです。AGAVE活用と、日本通運様の赴任と帰任時、そしてパソナの赴任中の管理、さらにガイダンスや赴任前研修、規程整備の支援なども組み合わせることで、海外人事に関わる業務の大部分を一括で任せられる体制が整います。

――まだ価値が認知されていない層もあるのではないでしょうか。
加納:駐在員の数が少ない企業では、海外駐在員の管理に予算を投じる価値を感じにくいという声をいただくこともあります。一方で、大企業の場合は赴任者数が多い分、業務量が膨大になり、BPOとシステム導入の効果はより大きく発揮されます。
システム導入と併せ、当社が提供する赴任中の労務管理のBPOを利用いただく場合に限った話ですが、目安としては50名前後が効果を実感しやすいボーダーラインになると考えています。もちろんそれ以下の規模でも成果が出るケースはありますので、今後も参考となる成功事例を積極的に発信していきたいと思います。
金子:30名規模でも一定の導入メリットはありますが、特に大企業ではその効果がより大きく表れやすいと感じています。案件数や関係者が増えるほど、手配や進捗管理が複雑になり、業務の属人化も起こりやすくなるためです。担当者が業務を抱え込むリスクはどの企業にもありますが、大規模組織ではその影響が全体に及びやすく、安定運用のためには、手配業務を任せられる体制と進捗を可視化できる仕組みの両方が重要になります。

佐藤:AGAVEの名前を知っていただく段階から、自社の課題を本当に解決できるかという価値を確かめていただく段階に移ったと感じています。DX推進のように、各企業には業務フローを見直したい、無駄をなくしたいという検討のタイミングが定期的にやってきます。そこで最初にご相談いただける存在になれるよう、3社で実績を積み重ねていくことが大切です。
——最後に、今後の展望をお聞かせください。
金子:赴任前から帰任まですべての情報がAGAVEに集約された先には、各企業がそのデータを分析し、タレントマネジメントの高度化や駐在員の処遇の公平性維持、リスク管理の強化などに活用できる未来があります。お客様の海外事業の成長を支えるサービスへとさらに進化させていきたいと考えています。
加納:お預かりしている業務の遂行だけでなく、お客様の海外人事部門全体を視野に入れた価値提供を目指しています。この3社協業を始めた当初から、単なるアウトソーシングではなく、海外人事部門の業務設計や制度運用まで含めた伴走型のコンサルティングとして価値を提供することを掲げてきました。
パソナとしても、赴任中の労務管理だけにとどまらず、日通様・AGAVEとの連携を通じて、海外人事部門全体の最適化をお客様と共に追求していきたいと考えています。パソナだけでなくパートナーシップの力によって、海外人事部門全体の効率化をお客様と一緒に追求していけると感じています。
佐藤:コミュニケーション・データ・業務の統合という観点では、まだまだ伸びしろがあります。今後はAI活用をさらに加速させ、海外人事の意思決定や業務運営により大きな価値を提供できるよう進化させていきたいと考えています。加えて、国際情勢の変化がますます加速する中で、グローバル人事にとって変化への対応力は大きなテーマです。3社で、海外人事の業務改革における最初の相談相手として、お客様にもっと早い段階から関わっていける存在になりたいと考えています。